1970年代に二度の中東戦争が引き起こした「第1次・第2次石油危機」はほぼすべての国を襲ったが、その衝撃をエネルギー自立の契機にすることに成功した国々もある。その代表的な事例がデンマークだ。1973年の第1次危機当時、輸入石油などに90%以上依存していたデンマークは、外国産エネルギーを削減しない限り、「風前の灯」の状況から抜け出せないことを痛感した。そこで、陸と海の「無料の風」を燃料にできる風力産業を育成し、協同組合を通じて住民が投資に参加できる仕組みを作り上げた。風力設備が増えるにつれて、ベスタスなどデンマークの風力会社は最高の技術力を備え、世界市場を席巻した。デンマークでは「燃料を消費する車の利用を減らす」運動とともに、自転車中心の交通体系も画期的に拡充された。気候変動を防ぐための社会的合意がこの流れを後押しした。現在、デンマークでは電力の80%以上が風力などの再生可能エネルギーで賄われており、輸入エネルギーへの依存度は30〜40%台に低下した。再生可能エネルギーの比率が高いと電力ネットワークの管理が難しくなると言われるが、デンマークではリアルタイムの変動料金プランと情報技術システムに基づき、円滑な運用が実現されている。
韓国は石油危機当時、デンマークと似た状況にあったが、別の道を選んだ。韓国のエネルギー輸入依存度は、1973年に無煙炭などの国内生産のおかげで70%台だったが、2025年には約94%に上昇した。石油、天然ガス、石炭、ウランなどの輸入に年間約220兆ウォン(約23兆7700億円)を費やしている。これは国家全体の輸入額の4分の1に近い、非常に大きな規模だ。多くの国が気候危機に対応して太陽光や風力発電を増やす中で、韓国は化石燃料依存からなかなか抜け出せずにいる。盧武鉉(ノ・ムヒョン)・文在寅(ムン・ジェイン)政権が再生可能エネルギー拡大政策を推進しても、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)・尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権によってその政策は覆された。政府を信じて投資した結果、失敗した太陽光発電企業も多かった。2025年の韓国の再生可能エネルギー発電比率は約11%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位だ。OECD加盟国の平均である30%は大きく及ばない。米国とイスラエルによるイランへの空爆の後、ホルムズ海峡が封鎖されたことで、韓国が特に苦しんでいる背景にはこのような事情がある。韓国が輸入する原油の70%は、ホルムズ海峡を通過する中東産であるからだ。
このように、韓国のエネルギー安全保障の脆弱性は国際社会でも関心の的となっている。米国の非営利研究団体である戦略的リスク委員会(CSR)傘下の気候変動・安全保障センター(CCS)は、昨年1月に発表した報告書で、「過度な輸入エネルギーへの依存が韓国の安全保障上の脆弱性となっている」と指摘した。この報告書は米国・イスラエルとイランの戦争以前に出されたにもかかわらず、ホルムズ海峡が火種になる可能性があると警告している。さらに「韓国の化石燃料輸入は(国際)紛争、気候変動リスク、政治・経済的ショックに対してますます脆弱になっている」とし、「この三つの領域が交差することで、国家エネルギー安全保障に複合的なリスクをもたらす可能性が高い」と見通した。また「韓国が再生可能エネルギーへの転換を加速すれば、脆弱な化石燃料輸入供給網への依存度を下げ、他の安全保障上の優先課題に活用できるコストも削減できる」とし、「再生可能エネルギーは単に気候変動問題の解決策にとどまらず、韓国の国家安全保障と経済安全保障を支える重要な柱である」と強調した。
尹錫悦政権が原子力復興のために太陽光と風力を抑制していた一方、李在明(イ・ジェミョン)政権は再生可能エネルギーへの転換の重要性を認めている。李大統領が先月と今月の国務会議などで「中東に端を発した危機を再生可能エネルギー大国へ転換する機会にすべきだ」と発言したのは、前向きな変化だ。しかし、化石燃料や原子力産業の既得権益による抵抗や妨害を乗り越え、必要な速度で転換を成し遂げる覚悟があるかどうかは不透明だ。米バイデン政権でエネルギー・気候政策顧問を務めたソール・グリフィス氏は、著書『すべてを電化せよ! 科学と実現可能な技術に基づく脱炭素化のアクションプラン』で、「クリーンエネルギーソリューションはすでにすべて出そろっており、必要なのは『戦時総動員』のような迅速な実行だ」と述べた。グリフィス氏は、電気自動車(輸送)、ヒートポンプ(暖房)、太陽光パネル(電力)など、家庭や企業のすべての設備を電化し、太陽光や風力といった再生可能エネルギーで必要な電力をすべて供給すべきだと主張した。そのために発電・送配電インフラを拡充し、「気候融資」などの金融支援を提供するとともに、化石燃料補助金は必ず廃止すべきだと強調した。韓国はデンマークより50年遅れているが、今こそ危機をチャンスに変える決断が必要だ。遠い国で起きた紛争で、大きくふらついてしまう状況から抜け出すためには。