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【社説】報道機関への電気と水の供給を断つよう指示したイ前長官、早急に捜査を

登録:2025-01-15 08:54 修正:2025-01-15 09:55
イ・サンミン前行政安全部長官が先月5日午前、ソウル汝矣島の国会で行われた行政安全委員会の全員会議で、戒厳時の警察の対応についての緊急懸案質疑を聞いている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 12・3非常戒厳宣布の当日、イ・サンミン行政安全部長官(当時)がハンギョレをはじめとする4~5つの報道機関への電気と水の供給を断つよう指示していたことが明らかになった。戒厳に批判的な報道を行うことが予想される報道機関への水と電気の供給を断つことで、新聞発行をはじめとするニュース生産を妨げようとしたのだ。辞任後、事実上捜査が中断しているイ・サンミン前長官の役割を早急に究明し、処罰すべきだ。

 ホ・ソッコン消防庁長は13日、国会に出席し、「イ・サンミン長官から、4つから5つの報道機関について、警察庁から電気と水の供給を断つよう要請があれば協力しろとの電話がかかって来た」と明かした。共に民主党のユン・ゴニョン議員が報道機関の名を一つずつ示しつつ、一問一答で行われた質疑応答で、ホ庁長が認めた対象報道機関はハンギョレ、京郷新聞、文化放送(MBC)で、ユーチューブチャンネル「キム・オジュンのニュース工場」も含まれていた。ホ庁長は、電気と水の供給を断つのは消防の業務ではないため、消防庁の次長と議論したのみで、実行には移さなかったと答えた。

 戒厳当日に汝矣島(ヨイド)に集結した市民の勇敢な阻止と国会の迅速な戒厳解除決議がなかったら、報道機関への電気・水供給遮断計画は実行に移されていたことだろう。政権発足以降2年半の間、批判的メディアに対する「口封じ」捜査を通じて言論の自由を踏みにじってきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、戒厳令宣布を契機として物理的にもメディアを掌握しようとしていたのだ。自分たちの発言だけを忠実に書き取るオウムのようなメディアを通じて戒厳の正当性を宣伝し、反対勢力を粛清しようとしていたのではないか。1970~80年代の軍事独裁のような言論統制によって、何をしようとしていたのか。時代錯誤的でもあるが、想像するだけで体が震える。

 電気と水の供給遮断について、韓国電力や水道事業所などにはどのような指示が下されたのか、警察と消防庁の役割分担はどのようになされる予定だったのかなどについて、早急に捜査が必要だ。特にイ・サンミン前長官は尹大統領の高校の後輩で、「冲岩派」の一員として戒厳準備に深く関与していた疑いが持たれている。戒厳解除当日の先月4日夜には三清洞(サムチョンドン)の安全家屋(国家機関の秘密活動に用いられる一般家屋)でパク・ソンジェ法務部長官、キム・ジュヒョン大統領室民政首席、イ・ワンギュ法制処長と会っていたことが明らかになっており、会合の目的について疑惑が持たれている。

 イ前長官は、先月8日に辞表が受理されてからは、警察の取り調べを一度受けただけで、高位公職者犯罪捜査処への事件の移牒後は事実上捜査が中断している。このような重要な容疑者を自由にさせておくのは法治主義に反する。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1177882.html韓国語原文入力:2025-01-14 18:00
訳D.K

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