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[コラム]朝鮮半島における対話と関与は終わった

登録:2023-08-17 07:05 修正:2023-09-04 14:17
尹大統領の8・15光復節の祝辞は、50年間の南北対話、そして1990年代以降の国際社会による朝鮮半島関与政策の終焉だ。18日の米国のキャンプデービッドでの韓米日首脳会談はそれを確認する。強大国の対決に夏の虫のように飛び込む尹政権の暴走も、私たちにとっては絶望の淵だろう。
尹錫悦大統領が15日、ソウル西大門区の梨花女子大学大講堂で開かれた78周年光復節記念式で祝辞を述べている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の8月15日の光復節の祝辞は、50年間続いた南北対話、そして1990年代から続いた国際社会による朝鮮半島関与政策の終焉を予告した。18日に米国のキャンプデービッドにある大統領別荘で開かれる韓米日首脳会談は、それを確認する場になるだろう。

 韓国と北朝鮮は、自主・平和統一と民族大団結の原則を確認した1972年の7・4共同声明以降、紛争と対決の繰り返しのなかでも、基本的には対話と交流を追求した。国際社会も、1990年代初頭の社会主義圏の崩壊で孤立に陥った北朝鮮に、米日と国交を結ばせ核兵器開発を阻止するための関与政策を展開した。そうした対話と関与政策は、米中対決の激化とウクライナ戦争のさなか、尹政権の米日「全賭け」政策によって完全に流されてしまっている。

 尹大統領の光復節の祝辞がその予告だ。歴代大統領の光復節の祝辞は、民族独立と自主努力に対する評価、その延長線上で平和統一に対する希望を込めていた。歴代大統領の光復節の祝辞は、北朝鮮との対話と交流の方針を伝える重大な行事だった。

 尹大統領は、今回の祝辞を政敵への非難と日本の役割の称賛に割いた。今回の祝辞の内容のうち、「共産全体主義勢力は常に民主主義運動家、人権運動家、進歩主義行動家に偽装」するという主張は、朴正煕(パク・チョンヒ)、全斗煥(チョン・ドゥファン)両元大統領でさえも口にすることはなかった。「民主と人権、進歩を語りさえすれば共産全体主義勢力」だということと同じだ。特に、尹大統領は「日本が国連(軍)司令部に提供する7カ所の後方基地の役割は、北朝鮮の南侵を遮断する最大の抑制要因」だと述べ、日本が軍事協力国であることを明確にした。大統領はキャンプデービッドでの韓米日首脳会談が「3カ国協力の新たな道しるべになるだろう」と述べた。

 キャンプデービッド会談で今後定例化されるという韓米日首脳会談は、米国の中国との対決戦略であるインド太平洋戦略の主軸の一つだ。その主軸は、朝鮮半島関与政策をもはや必要としない。米国が1990年代以降、北朝鮮と対立しながらも対話を試み国交正常化を進めようとした関与政策は、社会主義圏の崩壊にともなう米国の一極体制が背景にある。ロシアが米国の競争国ではなくなり、中国は米国が主導する世界経済体制の中心に編入された状況だった。核開発を進める北朝鮮をなだめ、米国一極体制に編入しようとした。中国とロシアの助けがあったので、北朝鮮を制裁もしながらもなだめることはできた。

 今の米国は、中国の浮上とロシアの挑戦によって、一極体制が脅かされる状況に直面している。ウクライナ戦争でNATOを再整備し、アジア太平洋地域ではNATOに準じる集団防衛体制を構築しようとするインド太平洋戦略を展開する。中国封じ込めのための米国・日本・オーストラリア・インドのクアッド(Quad)体制が大きな枠組みであり、2021年9月に結成された米国・英国・オーストラリアのオーカス(AUKUS)軍事同盟と、まもなく強化される韓米日3カ国体制を両軸とする。

 米国は戦後、アジア太平洋地域で自身を中心に据え、領域内の各国家と個別に同盟を結ぶ自転車の車輪のような「ハブ・アンド・スポーク」体制を運営してきた。アジア太平洋地域の各国は歴史問題などで対立し、NATOのような集団防衛体制を構築できなかった。だが、米国は1970年代から韓米日3カ国同盟体制を追求していた。中国との戦略競争が本格化したバラク・オバマ政権期からは、韓国と日本の歴史問題に直接介入して解決を強要し、軍事情報の共有を皮切りに韓国と日本の直接の軍事協力関係を作ろうとした。尹政権が日本に「度量の広い」譲歩をして、韓米日3カ国同盟体制が軌道に乗った。

 北朝鮮も米日との対話と国交正常化にこだわらなくなった。北朝鮮が核開発を行いながら米日に近づいたのは、中国とソ連という後ろ盾がなくなり孤立したためだった。今では中国とロシアが米国に対抗し、緊密な二国間関係が形成された。ウクライナ戦争のさなかに、ロシアはセルゲイ・ショイグ国防相を7月27日の北朝鮮の「戦勝節」に特使として派遣した。中ロ陣営は北朝鮮をこれまで以上に必要としている。北朝鮮も、拡大するBRICSなどを相手に陣営を形成する中ロによって経済と安全保障の需要を満たすことができ、もはや孤独ではない。

 タイミングよく翻訳された東京大学の和田春樹名誉教授の『日朝交渉30年史』は、何度も挫折した北朝鮮と日本の国交正常化の試みを冷静に診断する。過去30年にわたる国際社会の朝鮮半島関与政策の失敗と終焉を示した。著者は、北朝鮮との関係正常化によって東北アジアに平和の家を作ろうとした勢力は負けたとして絶望を認める。だが、和田教授は魯迅を引用して「絶望が虚妄であるのは、まさに希望と同じだ」としたうえで、「絶望の淵から希望を見いださなければならない」と語る。和田教授はハンギョレのインタビューで「同じ民族である北朝鮮に対抗するために日本と協力するのは、韓国にとっては邪道」だと忠告した。

 強大国の対決に夏の虫のように飛び込む尹政権の暴走も、私たちにとっては絶望の淵だろう。

//ハンギョレ新聞社

チョン・ウィギル|国際部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1104538.html韓国語原文入力:2023-08-17 02:10
訳M.S

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