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[寄稿] 移民以外に解決策はない…韓国も「開かれた社会」の議論を始めるべき

登録:2023-05-11 03:42 修正:2023-05-19 10:28
チョ・ギョンホ | 国会議長政務首席補佐官
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 「私はイランのテヘランで生まれ、5歳の時に両親の手に引かれてノルウェーの小さな村に来ました。機会の国であるノルウェーの共同体では、『マスード・ガラカーニ』という聞きなれない名前が何の障害にもならず、自分の努力だけで夢を叶えることができました」

 今年2月にキム・ジンピョ国会議長を表敬訪問したノルウェーのマスード・ガラカーニ国会議長が、初当選議員時代の2011年に労働党全党大会で行った演説の一部だ。同演説で彼は一躍スターになり、10年後、外国生まれの移民者としては初めてノルウェーの国会議長に就任した。まるでバラク・オバマ米元大統領がイリノイ州上院議員時代の2004年、民主党全党大会演説で大衆の心をとらえ、4年後に大統領に当選したデジャヴを見ているようだ。

 40歳の移民者出身の国会議長。ノーベル賞とオーロラの国として知られているノルウェーが、なぜ北欧の福祉国家になれたかを説明してくれるようなエピソードだ。外見が異なる人々を受け入れ、彼らが自分の力を最大限発揮できるようにする開かれた社会システムが、ノルウェーを誰もが羨む国にしたのではないかと思う。

 また別の例を挙げてみよう。新型コロナウイルス感染症が世界中に広がり人類がパニックに陥った時、従来のワクチン製造方式とは異なるタンパク質を活用した新しい方式(mRNA)のワクチンを開発したのは、トルコ移民2世の「ドイツ人」、ウール・シャヒンとエズレム・テュレジ夫妻だった。

 ドイツは2021年の合計特殊出生率が1.58人で、韓国よりはるかに高いが、積極的に移民を受け入れている。大卒以上の外国専門人材を差別なく受け入れる「欧州連合(EU)ブルーカード」の約80%がドイツで発給された。特に数学・情報工学・自然科学・工学(MINT)分野の専門家たちを積極的に優遇している。このために2019年に専門人材移民法を制定しており、今年3月29日には連邦内閣が情報技術(IT)、医療・介護、保育分野などで不足している熟練人材の移民を容易にするよう支援する法案を議決した。

 韓国政府は少子高齢社会基本法により2006年から現在まで300兆ウォン(約30兆5600億円)を越える予算を注ぎ込んだが、2006年に1.13人だった合計特殊出生率は0.78人まで下がった。韓国の少子高齢化対策は主に出生率の向上、老人雇用の拡大、女性雇用率の向上などの観点で議論されてきた。しかし、若い人口の割合が減少するつぼ型の人口構造の中で、生産可能人口を増やす現実的な方法はなさそうだ。たとえ新生児が現在より3倍以上生まれると仮定しても、彼らが生産可能人口になるためには少なくとも15年以上かかる。高齢者就業人口の割合は34.1%(2020年)で、経済協力開発機構(OECD)でも最高水準だ。人手不足に苦しむ主要業種が製造業、建設業、農林漁業などであるため、女性の就業率を高めても労働市場のミスマッチ(不均衡)によって人口政策として効果が出るかは不透明だ。

 現在、我々は約200万人の移民者と共に暮らしている。人口における移民者の割合は2021年現在3.7%で、OECD平均の14.3%にははるかに及ばない。状況がこうであるのに、少子高齢化対策を語る時、移民という言葉を口に出すことさえタブー視される雰囲気だ。今からでも人口危機対策を講じるにあたって、少子化対策とともに拡張的移民政策について議論を始めるべきだ。移民者の国内滞在秩序の確保、グローバル人材の流入動機の拡大、移民者と内国人との間の摩擦の最小化など、懸案に対する社会的議論をこれ以上先送りしてはならない。多様性と開放性、包容性が力となる時代だ。違いを認めて受け入れる土壌でこそ自由な思考が育まれ、創造性が花を咲かせるものだ。

//ハンギョレ新聞社

チョ・ギョンホ | 国会議長政務首席補佐官(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1091294.html韓国語原文入力:2023-05-11 02:36
訳H.J

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