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[社説]強制動員問題の「性急な解決策」後に訪米する尹大統領、一方的な外交が懸念

登録:2023-03-09 03:51 修正:2023-03-09 07:43
尹錫悦大統領は来月26日に米国を国賓訪問し、バイデン大統領と首脳会談を行う。写真は昨年11月、カンボジアのプノンペンでの尹大統領とバイデン大統領との首脳会談の様子/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「強制動員解決策政府案」で韓日関係を急いで取り繕い、その直後に米国への国賓訪問日程を公開した。大統領室とホワイトハウスの8日の発表によると、尹大統領と米国のジョー・バイデン大統領は4月26日にワシントンで首脳会談を行う。韓米同盟70周年に合わせた、韓国大統領の12年ぶりの米国国賓訪問だ。

 尹大統領は強制動員問題で日本の要求をすべて受け入れた「解決策」を拙速に発表したのに続き、韓米、韓米日の全方位的な協力を急いでいる。特に注目すべきは、政府は今回の国賓訪問を機として、米国主導の対中国けん制協議体であるクアッド(QUAD、日米豪印4カ国枠組み)の作業部会への参加を既成事実化することを目論んでいるということだ。政府高官は首脳会談の議題を説明した際に、「クアッドの作業部会への参加は積極的に進めるべきではないかと思う」と述べた。米国政府が韓日両政府に対して、核抑止力をめぐる協力を強化する協議体の創設を打診したという日本メディアの報道もあった。韓米日軍事協力はさらに緊密になるものとみられる。

 米国と中国はいずれも、尹大統領の行動を徹底的に米中覇権競争の枠組みの中で評価している。韓国が強制動員政府案を発表した直後、米大統領と国務長官がそれぞれ歓迎声明を発表した一方、中国の官営メディアは「米国に迫られたため」だと警戒している。このような構図の中で韓国がクアッドにまで参加すれば、中国はさらに激しく反発するだろう。

 経済安保をめぐる激しい交渉において、尹大統領の韓米、韓米日密着外交は、米国に一方的に引っぱられる材料になってしまうのではないかと懸念される。米国は自国に半導体工場を建設する企業に補助金を支給すると言いつつ、自国の利益を根拠とする条項を強要している。韓国企業が米国に大規模な投資を行っても米国製造業の復活に利用されることになり、中国にある生産施設と市場は放棄することになりうるという不安は消えない。昨年も米国のインフレ抑制法(IRA)で韓国製電気自動車が補助金の対象から除外され、米国は依然として具体的な解決策を示していないという現実をきちんと問いただすべきだ。

 韓米同盟を通じて安保、経済、サプライチェーン再編や未来産業などの問題に対処することは絶対に必要だ。同時に、「同盟」を強調しながら徹底的に自国優先主義にもとづいている米国の意図と動きをきちんと読み取り、核心議題において原則と具体的な結果を作り出せるよう、慎重に交渉すべきだ。米国の戦略的要求にこたえる韓日、韓米日密着外交路線で疾走している尹大統領の性急さが懸念される。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1082747.html韓国語原文入力:2023-03-08 18:17
訳D.K

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