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[社説]「政治業績」に没頭、苦言も拒んだ尹大統領、「降伏外交」暴走

登録:2023-03-08 05:20 修正:2023-03-08 09:31
尹錫悦大統領が7日、大統領室で開かれた国務会議で発言している/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が、外交部の交渉原則と「急ぐな」という外交ベテラン勢の苦言を無視し、日本のすべての要求を受けいれた事実上の「降伏外交」を急いで押し通した状況が明らかになっている。

 交渉を担当した外交部は、昨年11月に日本との公式交渉を始め、「日本政府の謝罪と被告企業の賠償参加」を最低ラインに定め、少なくとも二つのうち一つは貫徹しなければならないという交渉方針に最後までこだわった。保守派の外交関係者らも「急ぐことで(日本から)何も得られなかったら、『慰安婦』合意の時よりも激しい対立によって、韓日関係はさらに悪化しうる」という趣旨の懸念を政府側に伝え続けたという。それでも、尹大統領が合意を促し「押し通した」ということが、様々な当局者や消息筋の証言だ。こうした状況は、交渉過程で韓国が日本に致命的な弱点を握られることにつながった。「日本は軍国主義の侵略者から協力パートナーに変わった」という尹大統領の三一節(独立運動記念日)の記念演説は、韓国の交渉動力を崩す決定打となった。

 尹大統領の性急さは、日本との妥協を自身の「決断」とし、保守層に「政治的業績」を誇示しようとする計算によるものとみられる。「過去の政権が悪化させた」と批判してきた韓日関係を改善し、韓米日の安全保障協力を強化する政治的功績を強調しようとするものだ。強制動員被害者に政府傘下の財団が日本企業を肩代わりして賠償金を出す政府案を発表してから、大統領室が尹大統領の訪米・訪日スケジュールを確定するために奔走したのは、そうした意図を示している。今月中に日本訪問、4月に米国への国賓訪問、5月に日本の広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)への出席などによって、大統領の国際的地位を浮上させようとするものだ。尹大統領が7日の国務会議で「韓日協力が世界全体の自由、平和、繁栄を守るだろう」と述べて自画自賛したのも、そのような意味に聞こえる。

 米中覇権競争の間に挟まれた朝鮮半島の周辺情勢や、経済・サプライチェーンの変化などの複合変数を慎重に検討することなく、韓米日の安全保障協力の強化が特効薬であるかのように押し通す尹大統領の外交は、韓国を米日同盟の下位パートナーにするリスクを高めている。韓国の強制動員に対する政府案の発表の後、米国の大統領と国務長官が「歴史的」だとおだてたのは、対中国包囲網の戦線強化の観点から今回の措置を判断しているためだ。さらに日本も、尹大統領のこうした外交姿勢を、福島第一原発の汚染水放出や佐渡鉱山のユネスコ登録などの懸案で韓国の屈服を引きだすテコとして活用しようとするだろう。大統領はこうしたすべての状況に対して、どのように責任を負うのだろうか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1082580.html韓国語原文入力:2023-03-08 02:37
訳M.S

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