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[社説]大宇造船下請け労働者の51日闘争が韓国社会に投げかけた課題

登録:2022-07-23 08:08 修正:2022-08-03 10:51
大宇造船海洋下請け労組ストライキが51日目を迎えた今月22日午前、慶尚南道巨済市の大宇造船海洋玉浦造船所の第1ドックで、金属労組の巨済・統営・固城造船下請け支会の組合員たちが占拠座り込みをしていた現場=巨済/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 大宇造船海洋の下請け労働者たちのストライキが51日目を迎えた22日、ついに労使交渉が妥結した。0.3坪の「鉄の檻」に自らを閉じ込めたユ・チェアン労働者と、そのすぐ近くで高空座り込みを行ってきた労働者6人も、30日ぶりに座り込みを中止した。ストライキが大きな問題なく終わったのは幸いだ。下請け労働者がこれまで体験してきた極限の苦しみに比べて、手にした結果があまり大きくないのも事実だが、彼らに犠牲を強要してきた韓国の造船産業構造の実状が明らかになるきっかけにはなったといえる。これから韓国社会はこの重い課題を解決していかなければならない。

 この日、民主労総金属労組の巨済(コジェ)・統営(トンヨン)・固城(コソン)造船下請け支会と「大宇造船海洋社内協力会社協議会」は、朝からマラソン交渉を行い、賃金4.5%引き上げと年3回の賞与金支給などに合意した。また「下請け労働者の賃金改善のためのタスクフォース」を運営することにしたという。 鋭く対立した「ストライキ損害に対する民事・刑事上の免責」問題は引き続き交渉していくことで意見の一致を見た。苦労して成し遂げた妥結であるだけに、また別の「火種」にならないよう、会社側が前向きな姿勢でこの問題を解決してほしい。

 賃金4.5%引き上げは、労組の核心要求事項だった「2016年以降削減された賃金30%の回復」とは程遠い。現在、造船所の下請け労働者の賃金は、最低賃金をかろうじて上回る水準だ。元請け会社の社員との格差は「二極化」という表現では足りないほどだ。現場における下請け労働者の比重が圧倒的に高いことを考えると、世界で1、2位を争うという韓国の造船業は、彼らの一方的な犠牲の上に成り立っていると言っても過言ではない。

 造船業の現場は、下請け労働者の劣悪な賃金と労働条件のため、非熟練の新規労働者さえなかなか集まらない状態だ。造船業は代表的な労働集約型産業だ。多くの下請け業者も賃金支払いを遅らせたり、4大保険を長期滞納するほど危機に追い込まれている。元請けで支給する費用が実費さえ補填できない水準であるためだ。目の前のコスト削減だけにこだわれば、産業全体の環境が崩壊する可能性があることを、大宇造船海洋は直視しなければならない。

 元請け会社と下請け会社側がストライキにともなう民事と刑事の責任を問うという立場を固守し、妥結が遅れたのは、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領をはじめとする政府与党が「違法行為への厳しい対応」を繰り返し求め、事実上「ガイドライン」を示した影響が大きかった。にもかかわらず、政府は交渉妥結に関する立場表明文で「不法占拠の過程で発生した違法行為に対しては法と原則により対応する」と脅しをかけた。労使に対する公正な仲裁者であり造船産業を正常化するための政策者として、政府の責任ある態度を望む。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1052045.html韓国語原文入力:2022-07-2220:03
訳H.J

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