民主労総・金属労組の造船下請け支会のストライキ47日目の18日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「産業現場の違法状況は終息されなければならない」と述べた。政府も企画財政部などの5省庁の名義で「刑事処罰と損害賠償責任は避けられない」と警告する合同談話を発表した。国民の力のクォン・ソンドン院内代表はさらに踏み込んで、ストを「テロ行為」と非難した。事態を傍観してきた政府と与党が、同じ日にスト労働者を攻撃しつつ、強硬対応方針を表明したのだ。
下請け労働者のストを「違法」とする大統領と政府・与党の主張は、昨年6月から労働者が個別の下請け企業などに交渉を要請していたが拒否されてきたという事実を全く無視している。造船下請け支会のユ・チェアン副支会長が、1カ月近く猛暑の船底の0.3坪の「鉄製監獄」の中に自身を幽閉せざるを得ない残酷な現実に対しては一言もない。「ストの被害額は数千億ウォン」という一部メディアの報道ばかりを繰り返している。
政府・与党のスト労働者叩きに先立ち、この日の「朝鮮日報」は、下請け企業が続々と「涙の廃業」をしていると強調して報じている。しかし本紙の報道によれば、これらの企業のうち、かなりの数が下請け支会のストの前から経営危機のせいで「廃業」を予告していたり、4大保険料が長期にわたって滞っていたりした。下請け企業の経営難には元請けである大宇造船海洋に重大な責任がある。大宇造船海洋は、2015年から2019年にかけて、あらゆる方便を使って下請け企業に製造原価に満たない代金しか支払わず、公正取引委員会から153億ウォン(約16億1000万円)もの過料が科されている。
下請け企業に交渉の余力や自律性がないということは、業界では誰もが知っている事実だ。にもかかわらず、大宇造船海洋と筆頭株主である産業銀行は、下請け企業に交渉を押し付けてきた。交渉はするなというわけだ。受注があふれているのに、ストのせいで目の前で逃しているという主張もまた、現実を誤導するものだ。造船所の下請け労働は、移住労働者も敬遠するほど低賃金かつ重労働で悪名高い。去った熟練労働者は二度と戻ってこない。現在、造船業は働き手がおらず、労働環境崩壊の危機にある。
代表的な労働集約産業である造船業において、熟練労働者は産業の中枢だ。これこそ、2014年以降に31%も削減された賃金を回復せよという彼らの要求が「自分たちだけ豊かに暮らす」ための無理強いではない理由だ。政府が今なすべきことは、ストに対する強硬対応ではなく、積極的な仲裁、そして造船業の労働環境を蘇らせる根本的な代案を示すことだ。