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[社説]韓国野党ユン候補の妻の肉声で明らかになった不適切な「選挙運動関与」

登録:2022-01-17 09:51 修正:2022-01-19 08:46
MBC「7時間通話」の内容を一部公開 
キム氏「関与しなかった」書面で反論 
「金をくれないからMeTooが噴出した」歪んだ認識も
16日午後、ソウル上岩洞のMBC社屋に掲げられた電光掲示板に、国民の力のユン・ソクヨル大統領候補の配偶者キム・ゴンヒ氏の「7時間通話」の内容を放送する番組「探査企画ストレート」が放映されている/聯合ニュース

 文化放送(MBC)の「探査企画ストレート」が16日夜、国民の力のユン・ソクヨル大統領候補の妻キム・ゴンヒ氏がユーチューブのニュースチャンネル「ソウルの声」のL記者と通話した内容の一部を報道した。キム氏はL記者と昨年7月から12月まで50回余り通話しており、全体の通話時間は7時間45分にのぼるという。「ストレート」はこのうち、公的関心事に当たる発言だけを報道したと明らかにした。

 同放送によると、キム氏は電話で話したL記者に対し、ユン候補の選対委に迎え入れることもできるという意思を繰り返し明らかにした。キム氏は「私はL記者がいつか私の味方になると信じていて、正直に言って選対委に連れてきたい」と話した。それとともに「私が指示することをすればいい。情報業。あなたが得意な情報(収集)のようなこと。部屋で机の上でするんじゃなくて、駆け回って行き来しながらやらなきゃ」「L記者がやれる分だけ、1億ウォンくらいも渡せる」と、L記者に任せる役割や報酬についても具体的に語った。キム氏がL記者にこのような形でスカウトを提案したことだけでも20回余りにのぼると「ストレート」は伝えた。

 それだけではない。キム氏は「L記者がホン・ジュンピョに鋭い質問をしてみろ」、「ホン・ジュンピョをこき下ろした方がスーパーチャット(ユーチューブのライブなどでの投げ銭)がもっとたくさん出る」とし、党内予備選挙でライバル候補を中傷する取材をしてほしいとまで頼んだ。衝撃的だ。大統領候補の配偶者として、してはならない非常に不適切な行動と言わざるを得ない。キム氏は、ポストをえさに自分を取材する記者を懐柔しようとした行動について、明確な釈明をしなければならない。

 さらに、ユン候補の選対委で何の職責も務めていないキム氏が、何の資格で選対委の人事に介入できると言ったのかも明確にしなければならない。国民たちは「陰の実力者」だったチェ・スンシル氏が黒幕として朴槿恵(パク・クネ)大統領の一挙手一投足を操っていた国政壟断の実情を今でも鮮明に覚えている。ただでさえキム氏はユン候補の検察総長辞任と大統領選出馬、選挙運動の全般にわたり見えない影響力を行使してきたのではないかという疑惑を受けている。キム氏とユン候補がこの問題について納得できる説明をできなかった場合、万が一キム氏が大統領夫人になれば国政に私的に介入することが起こるのではないかという国民たちの疑念は、さらに膨らむしかない。

 キム氏はL記者に対し、「保守は確実に面倒は見てくれる。タダでこき使ったりするようなことはない。だからMeTooが噴出しなかったじゃないか。MeTooが出るのは、金をくれないから噴出するんだ。(でも進歩勢力は)金はないし、浮いた噂は出るし」と言い、いわゆる「MeToo」に関わった与党関係者らをあざ笑った。性犯罪と女性の人権に対する歪んだ認識を示す発言であることは間違いない。

 キム氏は「ストレート」の放送前日に書面での答弁書を通じて「自分はユン候補の政治行動に関与していないだけでなく、選対委にも関与していない」とし「L記者に選対委のポストを考えてあげるという話は、L記者が先に今の仕事をやめると言ったので、助けてあげるという原論的なレベルの話だった」と釈明した。また、「性を搾取した一部の与党の進歩派の関係者を批判する過程で、非常に不適切な発言をした。国民の皆様には申し訳なく思う」と述べた。しかし、この程度の形式的な釈明では、国民たちを納得させることはできない。今からでも提起された疑惑に対して正直に真相を明らかにし責任を負うことこそが、キム氏が示さなければならない姿勢だ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1027549.html韓国語原文入力:2022-01-17 08:20
訳C.M

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