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[社説]サムスン電子副会長の仮釈放、「ろうそく」を掲げた手が恥ずかしい

登録:2021-08-10 02:14 修正:2021-08-10 10:54
2018年2月5日に控訴審で執行猶予付きの判決を受け、353日ぶりに釈放されたサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が、京畿道義王のソウル拘置所から出てきている=義王/キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は「国政壟断事件」で服役中のサムスン電子のイ・ジェヨン副会長を8・15光復節仮釈放対象とし、釈放することを9日に決定した。イ副会長は経営権継承の助力を得ようとして会社の資金86億ウォン(約8億2700万円)を横領し、朴槿恵(パク・クネ)前大統領とチェ・スンシル氏に渡した贈賄の罪で、1月の破棄差し戻し審判決で懲役2年6カ月が確定し、再収監された。国政壟断を審判した「ろうそく民意」が誕生させた文在寅(ムン・ジェイン)政権が、国政壟断の主な加担者に仮釈放の特恵を与えたのだ。韓国社会では依然として「法の上にサムスン」があり、「法の上に金」があることを示した格好だ。「ろうそく政府」という名にぬぐい去れない汚点が残された。

 この日、法務部の仮釈放審査委員会はイ副会長を仮釈放適格者と判定し、パク・ポムゲ長官がこれを承認した。パク長官は「コロナ禍の長期化による国家的経済状況とグローバル経済環境についての考慮の観点から、イ副会長が仮釈放の対象とされた」とし「社会の感情、収容生活の態度などの様々な要因を総合的に考慮して決定されたものと聞いている」と述べた。納得できる説明では全くない。イ副会長は国政壟断事件のほかにも不当合併・会計不正事件とプロポフォール違法投薬の疑いで現在裁判中だ。仮釈放の審査対象となったこと自体が不適切だ。

 今回の仮釈放決定に先立ち、法務部は今年4月に仮釈放の審査基準を刑執行率60%に緩和し、7月から施行していた。イ副会長は7月26日に60%を満たし、その後半月もせぬうちに仮釈放審査を通過したことになる。政府が最初からイ副会長を釈放するつもりで刑執行率の緩和を行ったという疑念は拭えない。

 このかん市民社会団体は、政府によるイ副会長仮釈放推進の動きに重ねて反対意見を明らかにしてきた。全国1056の市民社会・労働団体は3日に記者会見を開き、「イ・ジェヨン副会長の仮釈放は文在寅政権の存在を否定する行為であり、ろうそくの命令に明白に逆行する行い」だとし、「イ副会長の仮釈放を許可すれば、市民の怒りと反発に直面することになるだろう」と述べている。「法の下の平等」を崩さないでほしいという訴えであり警告だった。先の大統領選で経済犯罪に対する厳正な法の執行と恩赦権の制限を公約した文在寅大統領は沈黙した。

 イ副会長は13日釈放される。同日、国民は法の上に君臨する経済権力の足取りを目にすることになるだろう。チェ・スンシル氏の娘のチョン・ユラ氏は「金も実力だ」と述べたが、イ副会長の釈放はそれが現実であることを示すことになるだろう。ろうそくを掲げた手が恥ずかしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1007042.html韓国語原文入力:2021-08-09 20:15
訳D.K

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