空軍副士官の性暴力事件の被害者が自ら命を絶った。報道によると、A中士は夜間勤務を変えてでも会食に参加するよう指示を受けて参加し、先任のB中士により強制わいせつの被害を受けた。被害者はすぐに上官に被害事実を通報したが、まともな支援どころか組織的隠ぺいや懐柔、圧迫などに苦しんだ。空軍本部法務室では被害者の個人情報を流出させ、外見の評価まで行ったという証言も出ている。被害者の死亡後も被害は終わっていない。「国民の力」のイ・チェイク議員は、チョン・イクス空軍法務室長から資料を受け、被害者の個人情報が含まれた報道資料を配布した。加害行為は組織的に隠ぺいされ、被害者の個人情報は組織的に配布されたということだ。
2013年のN少佐による陸軍大尉への性暴力事件後、国防部では何度も全面的な変化を講じると約束した。対策が発表され、被害に対する支援体制や加害行為に対する処罰規定が整備された。しかし今回の事件の場合、システムは作動せず、マニュアルは形骸化していた。システムが作られていなかったら期待もしなかっただろうに、通報した被害者はどれほど絶望しただろうか。事件が報道されてわずか数日後には、空軍で男性副士官が女性軍人に対して盗撮を行ない現行犯逮捕されたにもかかわらず、捜査係長が先頭に立って事件を縮小させた情況が明らかになった。陸海空軍の中で性平等に関して最も先進的な措置を取ると誇っていた空軍だが、一体どういうことなのか。
「空軍はそれでも一番ましな状況です」。軍隊における性暴力問題について、実態調査から政策提案、教育企画などさまざまな形で参加してきた中で、何度も聞いた言葉だ。現場で被害者の相談を聞き、事件を支援する担当者の話を聞くまで、私はその言葉を「空軍は陸軍や海軍に比べ女性の立場が相対的に良い方なのだろう」と何気なく聞き流していた。2018年上半期、国防部性犯罪特別対策タスクフォース(TF)民間専門委員として参加した時、空軍性平等センターを訪問したことがある。その時も指揮官の口から似たような言葉が出たが、のちに他の場所で教育生として会った現場の実務担当者は、その言葉がとても嫌だと言った。空軍が「それでも一番まし」だという言葉のせいで、何か一つでも進めるのがむしろ非常に難しいと言う。考えてみれば、問題を「本当に」解決しようとする人たちは、事件が一つでも減ることを望むのであって、「まだましだ」などということは言わない。そのような比較優位マインドの上級官がいる組織であればあるほど、事件を覆い隠す隠蔽が組織的に起こるものだ。だからこそ被害者の届け出は、どれほど大きな勇気が要っただろうか。
MeToo運動直後の2018年上半期、国防部性犯罪TF活動当時、軍隊内の性暴力問題に対する通報件数は予想より多くなかったため、除隊軍人からも通報を受けようという話が出るほどだった。被害を明らかにすること自体の難しさから解決しなければならないと、当時集まっていた専門家らは口をそろえて言った。通報チャンネルを多様に設け、民間の専門家が投入された結果、軍隊内での性暴力の通報は増えた。しかし、軍事裁判所の判決は加害者に寛容な姿、すなわち「身内かばい」という悪習を脱することができなかった。だからといって被害者に対する保護措置が十分に取られたわけでもない。高等軍事裁判所の判決文には、被害者を追跡できる周辺情報や関連者の個人事項がそのまま公開されている。
2017年に海軍大尉の自殺事件があった。性暴力の被害を受けたが、生半可に通報したら自分だけに不名誉として残るかもしれないと心配して悩み、結局繰り返される行為を止めるだけの手段を見出せず悲観したケースだった。少なくともこのような事件が発生した後は、被害者が通報しないよりも通報した方が良い選択となるようにしなければならなかった。そうしてこそ、軍隊内の性暴力問題が少しでも減る可能性がある。しかし、2021年の空軍中佐の自殺事件を通じて、通報しても変わらないという経験がもう一つ積み上げられてしまった。あまりにも残念だ。事故が発生したということ自体で人事上の不利益を受け、綱紀の緩みという言葉で被害者と加害者を区分せずに非難する軍の組織文化が変わらなければならない。性暴力犯罪の発生率そのものに焦点を置くのではなく、問題解決のためのシステムがどれほど機能しているかに関心を持たなければならない。そうしなければ、「今回もまただめだろう」「何もしないでいよう」という気持ちを乗り越えることはできない。
クォン・キム・ヒョニョン|女性学研究者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)