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[社説]先送りにできない北朝鮮人権問題、実質的な改善方法を探れ

登録:2021-04-03 04:15 修正:2021-04-03 08:17
アントニー・ブリンケン米国務長官が30日(現地時間)、「2020国別人権報告書」を公開し、記者団の質問に答えている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 米国政府が北朝鮮の人権問題を「対北朝鮮政策の必須要素」だと繰り返し強調している。国務省のリサ・ピーターソン民主主義・人権・労働担当次官補代行は30日(現地時間)、「2020国別人権報告書」を公開した際に「人権は北朝鮮政権に対する我々の政策全般において、なくてはならない要素としてあり続けるだろう」とし「我々は北朝鮮政権に、深刻な人権侵害に対する責任を負わせ続けるだろう」と述べた。

 今年の人権報告書の北朝鮮に関する内容は、「保安部隊が多くの人権蹂躙行為を行っており、当局による不法なあるいは任意の殺害、強制失踪などが起こっている」というもので、例年と大差はない。ただし、人権と民主主義に無関心だったトランプ政権とは異なり、バイデン政権が「人権を中心にすえた外交」との方針を明確にしていることからして、その重みは異なる。

 北朝鮮が人権問題に言及されると敏感に反応するという変数を考慮すると、朝米非核化交渉再開の敷居は高くなる可能性が高い。この間、北朝鮮の人権問題を正面から提起するというよりは、非核化と南北交流・協力を通じて自然な改善を進めるとの立場を取ってきた韓国政府の苦悩も、深まらざるを得ない。2日(現地時間)にはワシントンで韓米日安保室長が会談し、対北朝鮮政策について最終調整を行う予定だ。北朝鮮の人権に対する韓国の立場と原則が確立されてこそ、韓米両国の対北朝鮮政策と外交の方向性も明確となりうる。

 韓国社会において、保守勢力は北朝鮮の人権問題を北朝鮮との対話と協力に反対するための口実にしてきたし、進歩陣営は非核化交渉と南北和解を優先して人権問題を後回しにしてきたことも事実だ。バイデン政権が人権を強調していることについては、外部からの圧力では北朝鮮の人権問題は解決し得ないとの指摘がある。また、米国が人権の旗を掲げながらイラクに侵攻したり、南米などで独裁政権を支援したりしたという「偽善」も批判されている。

 だが、米国政府の態度変化は厳然たる現実だ。これを機として、韓国政府も北朝鮮の人権への対応原則を具体的に見直すべきだ。米国との政策調整の過程だけでなく、韓国社会の内部でも、北朝鮮の人権に対する世論のコンセンサスを形成する必要がある。北朝鮮の人権の改善にどのように実質的に貢献しうるのか、「一足先にやって来た統一」と呼ばれる韓国定着脱北民をどのように包摂するのかなどについても、より積極的に考えていくべきである。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/989063.html韓国語原文入力:2021-03-31 18:02
訳D.K

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