米中は18~19日、バイデン米大統領就任後初の高官級対面会談を開く。バイデン政権の外交戦略計画はすでに輪郭があらわれており、欧州とアジアの同盟および友好国とも緊密に協議を進めている。このような時期に、楊潔チ中国共産党中央政治局委員と王毅外交部長がアントニー・ブリンケン米国務長官とジェイク・サリバン大統領府補佐官(国家安保担当)と対話に出る。双方が互いの意図を深く理解し、両国関係の関連政策を評価・樹立する上で重要な影響を及ぼすものとみられる。
バイデン大統領は就任後、米中関係を「戦略的競争」という角度からアプローチしている。これはトランプ政権の時に比べて、二つの点で理性的な変化と言える。第一に、中国を「最大の競争相手」と規定し、全般的に強硬な基調を維持しながらも、中国を敵と見なさず、新冷戦を造成することもないという立場を明確にした。また、外交と同盟の復元を通じて、中国に対する競争優位を確保する考えを示唆した。第二に、米国の利益に合致する場合は、中国と協力できると明らかにした。中国は、米中関係を戦略的競争という角度からアプローチしないが、最近、両国間の競争問題をどうみるかについて態度を明らかにした。11日に閉幕した両会(全国政治協商会議と全国人民代表大会)期間に開かれた記者会見で、王毅外交部長は米中関係について、「求同存異」を主張し、対話と協力を通じて対立を管理するという従来の立場を再確認した。さらに「中米間の複雑な利害関係の中で競争が行われるのは驚くことではなく、重要なのは公平かつ公正な基礎で善意の競争をすることだ」と述べた。
「競争」は、国際関係における衝突と協力の中間地帯にある相対的に中立的な状態である。特に米中競争の核心は経済力と統治能力であり、これはゼロサムゲームのように互いを排除し、敵味方に分かれることを強要する伝統的な覇権争いとは異なる可能性がある。このような両国の最近の政策調整は、米中がより理性的で実用的な「善意の競争」を模索する上で必要な前提条件を提供してくれたわけだ。これをもとに、両国が今回の会談を通じて、両国の政策的相違はもちろん、公平で公正な競争環境について率直かつ深みのある対話ができれば、岐路に立っている米中関係の方向を正すのに役立つだけでなく、その他の国々に加えられる「敵味方の二分割への圧迫」も減らせるだろう。
王毅外交部長は昨年7月、米中シンクタンクのビデオフォーラムへの祝辞で、米中が協力と対話、対立管理などの問題に関する3つのリストを作成し、分野別に管理することを提案した。「協力リスト」は米中両国の関係をはじめ国際社会での協力が必要な事項で、他の問題とは関係なく積極的に協力をすすめなければならない。「対話リスト」は意見の相違はあっても対話を通じて解決が可能な問題で、できるだけ早く既存の対話チャンネルとプラットホームにおいて取り上げなければならない。「対立管理リスト」は一部の合意に達しにくい問題で、求同存異の精神に基づいて統制・管理し、両国関係に及ぼす衝撃や波紋をできるだけ最小限に抑えなければならない。今回の対面会談は、両国が3つのリスト作成に向けて深く論議できるまたとない機会だ。
このような観点から、ブリンケン長官が今回の会談を通じて、強力なメッセージを投げかける意向を明らかにしたことは、驚くべきことではない。同氏は最近、下院外交委員会に出席し、今回の会談で「米国の安保と繁栄、価値観に対する中国の挑戦に対する懸念を取り上げる」と述べた。また、両国間に見解の相違が存在する問題についても論議する考えを示した。中国も今回の会談で対立管理の議題を議論する際に自国の懸念を示し、敏感な問題については核心的な利益を明確にするとともに、「レッドライン」を提示するだろう。
米中間の問題が一度の対話で完全に解決できないことは明らかだ。しかし今回の会談を通じて、両国が相手の政策意図を把握し、誤った判断を避け、各分野の議題に対する処理原則に共感すれば、両国間の善意の競争のための機会を作り出せるだろう。