新型コロナウイウスの全世界的な感染拡大が米国の大統領選挙の勢力図を変えたことで、2021年に新たな米政府の発足とともに国際秩序に大きな変化が予想される。中国は今年10月、共産党第19期第5回中央委員会全体会議で「双循環戦略」を新たな国家発展戦略に採用した。中国政府は現在の国際状況を「百万年ぶりの大激変」と定義し、不確実な対内外的環境と世界経済のパラダイムに対応するため、「内需中心の双循環戦略」を提示した。
中国は従来、輸出主導型産業と積極的な海外投資を中心とする大きな歯車を国家発展の動力としていたが、今や「内需経済の活性化と自立型サプライチェーンの拡大」という歯車を正常に機能させ、既存の歯車とかみ合わせることで、二つの歯車が相乗効果を生み出すことを目指している。内循環の活性化は、都市と農村の格差解消や所得再分配の改善、地域間バランス発展、供給側の構造改革、デジタル経済の加速化、先端技術産業の育成と産業の自主化、金融改革、グリーン成長などの目標を設定している。
中国は14億の人口を世界最大の消費市場に活性化し、国内経済の質的成長と内的力量の強化を通じて内循環と外循環の相互作用で中国の未来の持続成長の可能性を高めることに重点を置いている。この戦略の成功は、「中国が対内外的な危険要因をいかに管理しつつ、供給側の構造改革に成功するか」と「米中先端産業のデカップリングの状況で中国が科学技術の自立を果たせるか」にかかっている。同戦略は、国家発展の主軸を外循環から内循環に移し、外循環に依存していた中国経済の負担を減らし、外循環の構造も大規模な海外インフラ投資から技術標準、5世代移動通信(5G)、デジタル人民元使用の拡大など、技術と貨幣中心への変更を模索するものだ。双循環戦略は、中国が米中覇権競争の長期戦に備え、外循環に依存していた中国経済を「国際政治・経済的環境の影響をより少なく受ける」経済構造に変更することだ。
2021年に始まる米中覇権競争の第二幕に向けて、米国と中国は戦列を整えている。ジョー・バイデン政権は直ちにグローバルリーダーの地位への復帰を図るだろう。これから米国は「米国と民主主義同盟国」対「共産主義中国」の対決で中国を包括的に圧迫しようとしている。同盟国と包囲網(封鎖政策)を狭めるという米国の攻城戦と、内需活性化を通して現代化した社会主義強大国を建設するという中国の守城戦が始まる。
バイデン政権は韓国に同盟としての役割を強く要求し、中国は韓国が米国寄りの姿勢を取るならこれを座視しないだろう。両国と友好的な関係を維持しつつ、朝鮮半島の非核化と平和プロセスを推進しなければならない韓国の悩みは深まるだろう。こうした時こそ朝鮮半島の非核化と平和経済の実現に対する韓国の意志を確固たるものにし、新北方・新南方に政治的・経済的・外交的拡張を図り、米中と環境や保健など国際協調が可能な分野で韓国の役割を広げていく戦略が必要だ。安保と経済のうち何を優先すべきかという論争より重要なことは、国際政治と世界経済パラダイムの変化に、韓国が国益を最優先する戦略で対応することだ。韓国は米国と中国に韓国の立場を粘り強く説得し、北朝鮮の非核化と不可逆的な朝鮮半島平和の実現の機会を作り出さなければならない。