1日に起きたミャンマーのクーデターは、国際社会にも波紋を広げている。
軍部が再び前面に出たミャンマーは、米国など西側と中国の間で関係を再調整するものとみられ、周辺情勢にも大きな影響を及ぼすものと予想される。米国のジョー・バイデン新政権の対外政策が試される最初の機会となった。
バイデン政権は直ちに制裁を示唆する強硬な非難の立場を表明した。ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は31日(現地時間)深夜、声明を出し「米国は最近の選挙結果の変更やミャンマーの民主主義への移行を阻止するいかなる試みにも反対する」とし「こうした措置が元に戻されない場合、責任ある人々に対する措置を取る」と発表した。アントニー・ブリンケン国務長官も「米国は民主主義、自由、平和、発展の熱望においてビルマ国民と共にある」とし「軍部はこうした措置を直ちに原状復帰させなければならない」と求めた。ミャンマーという現政権の国号ではなく、軍部統治以前の国号である「ビルマ」と呼び、ミャンマーの現体制を認めないことを明らかにした。
ドナルド・トランプ前政権が権威主義政権を擁護したという内外の批判を受けた後に発足したバイデン政権は、民主主義と人権を強調している。発展途上国の民主化の象徴であるミャンマーでのクーデターは、バイデン政権が初めて試される機会となった。
米中関係でもミャンマーは重要な国だ。ミャンマーは軍部出身のテイン・セイン大統領体制が発足して直接的軍部統治が終わった2011年から、米国との関係改善を始めた。翌年、両国は大使館の開設を発表し、ミャンマーの親中路線は修正された。これは米国がオバマ前政権後に標榜したアジア重視政策の重要な成果だった。
ミャンマーが一方的な親中路線を放棄したことで、米国はベトナム、タイ、インドとともに南方から中国に対する地政学的圧迫を強めるきっかけをつかんだ。中国はミャンマーを通じてインド洋に出る出口を確保しようと努力してきた。ミャンマー沿岸で生産されるガスを中国本土まで直送するパイプラインを開設し、ミャンマー沿岸で中国海軍基地も確保しようとした。ミャンマーは米国と中国の間で等距離外交路線で実利を取ってきた。また改革開放に乗り出し、国内の豊富な資源と労働力を土台とした経済開発とともに、東南アジアでの影響力を増大させてきた。
米・中・ミャンマーの3国間の関係調整はいずれも軍部統治の終息とアウン・サン・スー・チー氏の政権獲得によるものだ。ミャンマーで軍部統治が再び始まった場合、3国の関係も調整される可能性が高い。ミャンマー軍部は、米国が制裁を現実化するなら、再び親中路線に旋回することは明らかだ。これは南シナ海などで中国と対決しなければならない米国にとって、大きな戦略への支障を意味する。米国が掲げるインド太平洋およびクアッド(米・日・インド・オーストラリアの対中国連合)戦略においてミャンマーは必須の存在だ。
昨年初めの新型コロナウイルス事態後から、ミャンマーと中国の関係はすでに大きく強化されている。コロナ事態後、ミャンマーへの西側の支援が事実上途絶えた一方、ミャンマーの中国への依存は再び大きくなった。今月初めにミャンマーを訪問した中国の王毅外交部長は、中国が開発した新型コロナワクチンをミャンマーに早期に供給すると約束した。王文彬中国外交部報道官はクーデター後の1日、ブリーフィングで「中国はミャンマーの良き隣国であり、ミャンマーの各勢力が憲法と法律に基づいて対立を適切に処理し、政治・社会の安定を守ることを希望する」と述べるにとどまった。
ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国は慎重な態度を示している。米国の対中国封鎖戦略に協力的でないフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ政権は、「ミャンマーの内政」だとし、不干渉原則を標榜している。