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[コラム]森喜朗、浅田真央の忠告を聞いていたならば

登録:2021-02-17 08:13 修正:2021-02-17 09:33
//ハンギョレ新聞社

 女性理事を増やす条項に反発し「女性がたくさん入っている理事会は(会議進行に)時間がかかる」と発言した東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が、国内外の批判に押され、先週とうとう辞任した。

 2000~2001年に首相を務めた森氏の不適切な発言は今回が初めてではない。森氏は首相時代の2000年5月、「日本は天皇を中心としている神の国」と述べ、憲法が規定した国民主権の原則を否定しているという批判を受けた。女性を卑下する発言も繰り返された。自民党の少子化問題調査会長だった2003年には講演で「子どもを一人もつくらない女性が、自由を謳歌し楽しんで年取って、税金で面倒見なさいっていうのは本当はおかしい」と述べ、出産しない女性たちを非難した。2014年ソチ冬季五輪でフィギュアスケートの浅田真央選手が転倒して16位になった後、講演で「見事にひっくり返った。あの子は大事なときには必ず転ぶ」と言った。

 繰り返される問題発言にもかかわらず、森氏の出世街道には全く問題がなかった。自民党の密室派閥政治で首相になり、支持率9%で首相から退いた後も、スポーツ協会長や五輪組織委員会会長などで権力を維持してきた。

 世界経済フォーラムが集計した男女平等順位121位(153カ国中)の日本で、権力者の男性は妄言や性暴力を振るっても「安全」だった。2015年当時、安倍首相の側近である放送局幹部に性的暴行を受けたと暴露したジャーナリストの伊藤詩織さんは「彼女が誘惑した」「有名人の人生を台無しにした」といった2次加害にあうなど、大きな苦しみを経験した。日本のMeToo運動は、何度も壁にぶつかった。

 今回、日本の女性たちは大きな壁を崩した。森氏の発言から約10日で森氏の処遇の検討と再発防止策を求める署名に15万人以上が参加した。若い女性たちを中心に「#沈黙するな」「#わきまえない女」などのハッシュタグをつけたメッセージが広まった。森氏が「組織委員会の女性はみなさんわきまえておられて」とした発言をひっくり返して抗議したのだ。日本の保守的な政治文化で重要な決定を下す前に有力者同士が水面下で調整して決定を下し、「わきまえる」人たちは会議で沈黙を守るという。「わきまえない女」という女性たちの抗議は、これ以上会議のお飾りにとどまらず積極的に意見を出すという叫びだ。

 森氏の辞任が、日本の女性たちの声に耳を傾けて反省した結果ではなく海外、特に西欧の批判を意識したものという指摘もある。フィナンシャルタイムズは「外国からの圧力がなかったら、森はソーシャルメディアなどを非難し生き残っただろう」と皮肉った。そうだとしても、日本の女性たちの努力がなければ、森氏の辞任はなかっただろう。

 旧世代の男性たちが左右してきた日本の政治を変えるべきだという声がいつになく高まっている。森氏の後任として女性の組織委員会会長を任命すべきだという意見が多い。変化を読み取れず、性差別的な認識を固執し、権力で女性たちの沈黙を強要してきた人たちがついに淘汰の時代を迎えているのだ。

 2014年に森に「あの子」と嘲弄された浅田選手は、帰国後の記者会見で「失敗したくて失敗したのではないのでそれはちょっと違うと思った。森さんがああいう発言をしてしまったことについて少し後悔しているんじゃないかと思う」と語った。森氏は、その忠告を聞かなかったことを今こそ後悔するだろうか。

パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/983159.html韓国語原文入力:2021-02-16 13:42
訳C.M

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