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[コラム]保守派が“社会主義”と攻撃する「利益共有制」、元祖は李明博政権

登録:2021-01-13 20:30 修正:2021-01-14 08:41
イラスト:jaewoogy.com//ハンギョレ新聞社

 共に民主党のイ・ナギョン代表が提案した「コロナ利益共有制」を巡り攻防が熱い。趣旨は、新型コロナで多くの利益を得た階層や業種が自発的に利益の一部を社会に寄付し被害が大きい側を助けようということだ。

 利益共有制の元祖として、2011年にチョン・ウンチャン同伴成長委員長が提示した「超過利益共有制」が挙げられる。大企業と中小企業が共同で創り出した利益を分かち合う制度だ。少数の大企業だけに集中した成果を、協力会社である中小企業にも流れるようにしようとの趣旨だ。

 だが、財界は強力に反発した。特に故人となったサムスンのイ・ゴンヒ会長は「社会主義の用語なのか、共産主義の用語なのか、まったく聞いたことのない言葉」として、低俗な表現まで引っ張り出した。

 本来、利益共有制は1920年代に米国のハリウッドで映画俳優、製作会社、配給会社間の協力を促進するために導入された。以後、英国・オーストラリア・オランダなど先進国で広範に活用された。当然ながら社会主義とはかけ離れている。だが、こうした説明は徹底的に無視され、提案もうやむやになった。

 「国民の力」は、利益共有制に対して「社会主義経済を連想させる反市場的発想」と猛攻撃をしている。保守マスコミも「企業締めつけ」「4月選挙運動用」としながら積極的に同調している。

 「国民の力」と保守マスコミは、利益共有制の元祖である超過利益共有制が李明博(イ・ミョンバク)政権の時に推進されたことを忘れたのか、あるいはわざと知らないふりをしているようだ。イ・ナギョン代表が「社会主義」ならば、李明博政府も「社会主義」でしかない。

 李明博政府は、規制緩和・減税・低金利など“ビジネス・フレンドリー”を掲げて、2007年の大統領選挙で勝利した。だが、結果は二極化の深化であり、2009年の補欠選と2010年の地方選挙で揃って敗北した。李明博政府が2010年秋に大・中小企業「同伴成長政策」に急旋回したのもそのような背景からだ。

 今、利益共有制が提案された背景も似ている。新型コロナによって社会の二極化が深刻化している。政界もマスコミも二極化の解消対策が必要だと口をそろえる。だが、「国民の力」と保守マスコミは口先ばかりのようだ。具体的代案を提示することもせず、政府・与党攻撃ばかりに血眼になっている。そのようにして社会の対立が激化し、共同体が崩壊すれば、どのように責任を負うのだろうか。

クァク・ジョンス論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/978642.html韓国語原文入力:2021-01-13 17:28
訳J.S

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