共に民主党のイ・ナギョン代表が提起した「新型コロナ利益共有制」をめぐり、賛否両論が広がっている。「新型コロナで多くの利益を得る階層や業種が利益の一部を社会に寄与し、被害が大きい側を助ける様々な方式を論議しよう」というのがイ代表の提案だ。ところが野党「国民の力」は「社会主義経済を連想させる反市場的発想」だとし、イデオロギー攻撃を強めた。第1野党の対応というには一次元的であり、極めて旧態依然だ。
国家の未来を見通し国民の生活を見回さなければならない政党と政治家であるならば、与野党を離れ、新型コロナが引き起こした社会経済的な不平等を解消する解決策を提示するのが当然だ。正義党が、前年に比べ一定基準以上所得が増えた法人と個人の最高税率を2年間一時的に5%ポイント引き上げる「特別災害連帯税」を提案し、イ・ジェミョン京畿道知事が、政府と与党が難色を示す全国民災害支援金の要求を続けるのも、そのような悩みの結果であろう。
「国民の力」は、利益共有制に対する時代錯誤的なイデオロギー論は止め、より緻密で実効性のある解決策を作り出すための議論に参加してほしい。そのような論争は激しいほど望ましい。共に民主党は、ネイバーやクーパンなどの新型コロナで活況を迎えたプラットフォーム企業などが自発的に利益の一部を出し、政府は税制支援をする案を検討しているという。「企業締めつけ」だという批判を意識し自発性を強調するものだが、効果には疑問を感じる。第1回災害支援金の支給の際に国民の自発的な寄付を誘導したが、寄付は災害支援金の全支給額の1.9%にとどまった。賃貸料を引き下げた家主に税制優遇を与える「善良な賃貸人制度」も、やはり期待ほどには成果を出せずにいる。
このような経験と差し迫った現実などを考慮する場合、正義党が提案した特別災害連帯税のように強制性を帯びた制度の導入も、積極的に検討するに値するとみられる。欧州は、グーグル、アマゾン、フェイスブックなどのプラットフォーム企業に対するデジタル税を強化する案を議論中だ。南米の一部の国は富裕税を導入し、米国でも富裕税の議論が進んでいる。外国の事例を綿密に調べれば、悪影響を減らし効果を極大化できるはずだ。
いま手を差し伸べなければ、コロナ禍が落ちついても、両極化とそれにともなう社会対立はより大きくならざるをえない。与野党政界全体が、我々の共同体が共存・共栄する解決策を探ることに力を集中しなければならない時だ。政府も過去の慣行から脱し、発想の転換を通じて果敢な政策を出さなければならないだろう。