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[社説]不適切な韓国検察総長の弾劾論、検察改革の本質に集中を

登録:2020-12-28 06:19 修正:2021-01-06 09:18
23日午前、ソウル瑞草区の最高検察庁前にユン・ソクヨル検察総長の横断幕が設置されている/聯合ニュース

 ソウル行政裁判所第12部(ホン・スヌク裁判長)がユン・ソクヨル検察総長の「停職2カ月」執行停止申立てを受け入れた後、与党の一部からユン総長を弾劾すべきだという声が出ている。政務職の公務員である検察総長の不適切な行為に対する大統領の懲戒権さえ制約される状況を、国会が出て正さなければならないという主張だ。

 しかし、すでに文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「裁判所の決定を尊重する」と明らかにした状況だ。弾劾訴追が国会の合法的な権限行使だとしても、現時点で政界が直接ユン総長の去就を決める手続きに飛び込むのは、社会的な対立と疲労感を強め、事態収拾を難しくするだけだ。それよりは、司法官僚機関の専横の可能性を遮断し、民主的統制と牽制装置を確実に整える本質的な検察改革の課題に集中する必要がある。検察改革に対する国民的な支持を再び集めるための政権与党の緻密な戦略的行動が要求される時だ。

 共に民主党のキム・ドゥグァン議員は25日、「ユン総長が大統領の人事権を裁判所に持ち込んだ時から、国会が弾劾を準備しなければならないと思っていた。もうこれ以上待つことはできない。検察と裁判所が掌握した政治を国会に持ってくる」とし、ユン総長の弾劾推進に乗りだす意向を表明した。彼は26日にも「本分を忘れ権力者となって出てきた検察を元の場所に戻さなければ、大統領でも誰でも、罪があってもなくても、決して安全ではなく民主主義もない」とし、「裁判所の決定で認められた違法事実を根拠に、迅速にユン・ソクヨルを弾劾しなければならない」と主張した。

 しかし、これについては民主党のなかでも「弾劾は憲法裁判所の棄却につながる可能性がある。再び口実や逆風を提供してはならない」(ホ・ヨン報道担当)や「(総長への弾劾)訴追をして国民世論が悪くなる場合の痛みも考えなければ」(イ・ソクヒョン元国会副議長)などの慎重論が提起された。妥当な懸念であり指摘だと思われる。

 ただでさえ新型コロナウイルスの感染再拡大により国民の苦しみは深刻だ。ユン総長の弾劾推進は再び極端な世論の分裂と対立を招く可能性が高く、憲法裁判所の決定まで考慮すれば、政府と与党にも実益より負担が大きい選択になりうる。今は不毛な議論に巻き込まれている時ではない。民主党は国民の生活を最優先にして、検察総長の政治的な検察権行使を本質的に遮断できる捜査と起訴の分離や高位公職者犯罪捜査処の支障のない発足など、実質的な検察改革の課題完遂に力を注いでほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/976081.html韓国語原文入力:2020-12-28 02:40
訳M.S

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