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[コラム]バイデン政権の三つの道

登録:2020-11-30 06:47 修正:2020-11-30 08:37
米国のバイデン次期大統領は対北朝鮮政策の推進過程で、同盟である韓国政府との緊密な協議を重ねて強調してきた。北朝鮮が行動を自制し、韓国との対話を早期に再開しなければならない理由がここにある。バイデン政権の下では、ソウルを経由してこそ、ワシントンへの道が容易に開ける。

 バイデン政府発足が可視化され、国際社会は再び米国に注目している。「アメリカ・ファースト」という一方主義から抜け出し、同盟を重視して、国際社会に多国間主義を復元するというバイデン次期大統領の政策路線に関心が集まっている。しかし、韓国の最大の関心事である北朝鮮核問題と関連し、バイデン政権の政策方向は依然としてベールに包まれている。

 具体的な結果は出せなかったが、首領制を特徴とする北朝鮮の政策決定構造からして、トランプ大統領のトップダウン・アプローチがある程度説得力があるように見えたのは否定できない。しかし、バイデン次期大統領は(前任者とは)違う。実務接触を経て、北朝鮮が非核化で実質的な進展を見せなければ、首脳会談に応じない考えを数回明らかにした。期待と懸念が交差するのも、そのためだ。

 しかし、バイデン陣営の北朝鮮核政策はまだ可視化していない。8年間にわたるオバマ政権と、4年間のトランプ政権の北朝鮮核政策について綿密な再検討を経て、具体的な政策代案を出すと予想されるだけだ。この過程でバイデン政権内部では激しい論争が繰り広げられるだろう。現在、バイデン陣営には3つの見解が存在する。

 第一に、「先に核廃棄、後で補償」を前提とする非核化パラダイムだ。同パラダイムの基本前提は、政権の安保を重視する平壌が核兵器を放棄する可能性は低いということだ。このため、韓米日の協力による軍事的包囲と経済制裁の強化で最大限の圧力を加え続け、米国、韓国、中国、日本、ロシアの5カ国の協力を通じて北朝鮮を外交的に孤立させる一方、秘密工作と心理戦を通じて金正恩(キム・ジョンウン)体制を揺さぶるなど、多元的かつ強圧的戦略を展開しなければ、北朝鮮が核の放棄に真剣に取り組まないだろうというのが、彼らの主張だ。バイデン政権の引継ぎ委員会に参加しているブルッキングス研究所のチョン・パクら北朝鮮地域専門家と強硬派外交専門家がこのグループに属する。

 第二に、「漸進的同時交換原則」に基づいて対北朝鮮交渉を設計しなければならないという、漸進的な非核化あるいは核軍備統制を目指すものだ。これを支持する人たちは、平壌の核保有を認めるわけではないが、そのような能力を備えているという現実認識をもとに、交渉戦略を樹立すべきだと主張する。北朝鮮は核・ミサイル活動の凍結をはじめハノイで提案した寧辺(ヨンビョン)の核施設の部分的廃棄を、米国はこれに相応する制裁緩和、関係正常化、安全保障措置を限られた形でも取らなければならないということだ。このような初期措置を通じて信頼を構築し、相互協議の下でロードマップを作り、核施設と物質、核兵器を段階的に検証可能な方式で破棄してくべきという見解だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権のアプローチと類似していると言える。ウィリアム・ペリー元国防長官ら北朝鮮との交渉経験がある民主党議員や、バイデン陣営内の核拡散分野の若手専門家らが、このようなアプローチを擁護している。

 第三に、北朝鮮の核の安定的管理を主張するものだ。バイデン陣営内の主流の外交政策専門家たちがこれに属する。北朝鮮が短期間に核を放棄する可能性も低いが、だからといって軍事行動によって北朝鮮の核を除去することもできないため、北朝鮮を安定的に管理することが最も望ましいという見解だ。これはかなりの部分で状況次第で対応を決めることを意味する。北朝鮮が非核化に積極的な行動を示せば、それに相応する措置と交渉に乗り出すが、反対に挑発すれば報復を、現状維持を好めば「敵対的無関心」で対応するということに近い。結果的にオバマ政権の「戦略的忍耐」とあまり変わらないと言えるだろう。こうした見解には「時間は我々の味方」という自信と北朝鮮核問題の優先順位を低く評価する米国内の主流集団の考えが反映されている。

 今後、バイデン政権のこの3つの道のうち、どれを選ぶかは予断できない。ただし、一つ確かなのは、北朝鮮の動き次第でバイデン政権の選択も変わり得るという事実だ。北朝鮮側が忍耐強く交渉の意志を示せば、現在は少数派の「段階的非核化」に弾みがつく可能性もある。この場合、バイデン大統領は1999年の「ペリープロセス」を基本モデルに、高官級要人を対北朝鮮政策調整官に任命し、交渉を加速化することもできるだろう。一方、北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの試験発射などを強行した場合、非核化や戦略的忍耐を後押しする結果になり、2017年のような危機状況が再現されることも考えられる。今は北朝鮮の選択がそれくらい重要な時期だ。

 バイデン次期大統領は、対北朝鮮政策の推進過程において、同盟である韓国政府との緊密な協議を重ねて強調してきた。 北朝鮮が行動を自制し、韓国との対話を早期に再開しなければならない理由がここにある。バイデン政権のもとでは、ソウルを経由してこそ、ワシントンへの道が容易に開ける。北朝鮮が冷徹な現実認識に基づき、新たな変化のきっかけを作ることを期待する。

//ハンギョレ新聞社
ムン・ジョンイン延世大学名誉特任教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/971971.html韓国語原文入力:2020-11-30 02:39
訳H.J

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