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世界は再生可能エネルギーへと向かうのに…「韓国の脱原発めぐる攻防は消耗的な論争」

登録:2020-10-22 01:59 修正:2020-10-22 07:25
月城1号機の監査結果発表後、攻防再燃 
原発増加国は韓国を除けば中国、ロシアだけ 
専門家「積極的な脱原発政策」を注文
国際エネルギー機関(IEA)は、2040年に世界の電力需要の41%が再生可能エネルギーによって供給されると見通している=ゲッティ・イメージバンク提供//ハンギョレ新聞社

 月城(ウォルソン)原発1号機の早期閉鎖決定に関する監査院による監査をきっかけとして、脱原発を巡る攻防が再燃している。しかし専門家は、いち早く再生可能エネルギー中心へと転換している各国の動きとは相反する消耗的な論争だと一蹴する。

 現在も原発設備が増え続けている国は、韓国を除けば中国とロシアぐらいだ。中国は太陽光や風力などの再生エネルギーを基盤とした電源も増えており、ロシアは主に東欧諸国に輸出する用途として原発を増やしている。米国は新規の原発を引き続き建設しているものの、経済性を理由として老朽化した原発の閉鎖も続き、原発の数は減っている。日本も同様に、2011年3月の福島原発事故以降、原発の数は減っている。代表的な原発大国と評されるフランスも、2035年までに現在の50~75%を減らすと宣言している。

 気候危機に対応するため、クリーンな再生エネルギーへの転換が急がれることから、主要国は原発ではなく再生エネルギーへの投資に熱を上げている。国際エネルギー機関(IEA)は、最近発表した報告書『世界エネルギー展望2020』で「太陽光が世界の電気市場の新たな王となり、2022年以降は毎年新記録を打ち立てるだろう」とし「2040年には、世界の電力需要の41%を再生エネルギーが供給する」との見通しを示した。2017年現在の世界の新規設備投資の割合は、再生可能エネルギーが66.7%(2980億ドル)である一方、原子力は3.8%(170億ドル)に過ぎない。

 このような中、政府はむしろより積極的な脱原発政策を展開すべきだという注文が出ている。韓国の原子力分野が世界最高水準の技術力を持っているうえ、先進国に比べてまだ再生可能エネルギーの普及が十分でないため、国内では原発不可避論が依然として強力だからだ。実際に、文在寅(ムン・ジェイン)政権の任期中には原発の数そのものが減らない。現在稼動中の原発は24基(22.5ギガワット)だが、5基(7ギガワット)が建設中だ。新古里(シンゴリ)5、6号機は公論化委員会において建設を続けるとの結論が出た。今の計画どおりなら、2080年代まで原発を稼動することになる。こうした背景から「現政権の任期中に、原発の数や容量は増え続けることになっており、まともな脱原発と呼ぶことは難しい」という評価も出ている。

パク・キヨン、イ・グニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/966669.html韓国語原文入力:2020-10-21 17:42
訳D.K

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