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[社説]日本、国内外の憂慮を無視した「福島原発汚染水」放出を中止すべき

登録:2020-10-24 03:22 修正:2020-10-24 10:41
市民放射能監視センターと環境運動連合の活動家が19日、日本の菅首相が福島第1原発の放射能汚染水を手に取って安全だと主張するパフォーマンスをしている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 福島第1原発に保管されている放射能に汚染された大量の水を海に放出する決定を27日に下すと報じられていた日本政府が、ひとまず日程を延期した。国内外の批判世論を意識して、しばらく延期しただけで、海洋放出の方針は変わっていないようだ。日本の菅義偉首相は21日、「いつまでも方針を決めないで先送りすることはできない。できるだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたい」と述べた。菅政権は、日本国内と周辺国の深い憂慮を無視した拙速な決定がもたらす影響を直視すべきだ。

 核燃料棒が溶け落ちるメルトダウン(炉心溶融)事故が起きた福島第一原発で発生し続けている汚染水は、先月までに123万トンにふくらんだ。日本政府は、原発を稼働させる他の国も、汚染水を処理した後は海に放出しているとし、多核種除去設備(ALPS)で放射性核種を除去すれば問題はないと主張する。しかし、設備で除去できないトリチウム(三重水素)が水産物の摂取を通じて体内に蓄積されれば、遺伝子を変形させる恐れがあると専門家たちは警告する。国際環境団体グリーンピースは23日に報告書を発表し、汚染水にはトリチウムのほかにも炭素-14、ストロンチウム-90、セシウムなどさらに危険な物質が含まれているにもかかわらず、日本政府はこうした事実をきちんと伝えていないと批判した。

 日本国内からも、地域住民や地方自治体、環境運動家を中心として、多くの反対の声があがっている。東京新聞は21日の社説で、「メルトダウン(炉心溶融)した原発からの処理水を長期にわたって海へ流し続けた場合の影響は未知数」とし、1950年代に水銀の含まれる化学工場の廃水を海に流し、住民が深刻な被害を受けた水俣病の教訓を思い起こさなければならないと警告した。

 日本が汚染水を海に放出すれば、韓国は直接的な影響を受けざるを得ない。共に民主党のイ・ナギョン代表は22日、日本の冨田浩司大使と会談し、「すべての情報を透明に公開し、国際社会の同意を得ながら事を進めるべきだ」と述べた。国会科学技術情報放送通信委員会は23日、「国際社会と隣接国家の同意なき放出推進を中止することを厳重に求める」と決議した。

 菅政権には、放出決定を強行すれば、韓日関係の改善はいっそう難しくなるということを明確に認識することを望む。放射能汚染水の放出による健康・環境被害、韓日関係の悪化は取り返しがつかない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/967037.html韓国語原文入力:2020-10-23 18:33
訳D.K

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