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日本、福島原発汚染水の海洋放出を強行…韓国「国際社会とともに対処」

登録:2020-10-17 02:27 修正:2020-10-17 07:00
報道「早ければ今月中に決定」 
放射性物質の濃度を下げて排出 
浄化設備整備のため、放出は2年後の見通し 
 
2回浄化すると言うが、安全性に対する懸念は強く 
漁民団体、一般世論「圧倒的反対」 
韓国「汚染水処分を鋭意中止」
福島第1原発の敷地内に並ぶ汚染水保管用タンクの様子。トリチウム以外の放射性物質を除去した汚染水を保管する。写真は2017年に撮影されたもの=福島原発共同取材団//ハンギョレ新聞社

 日本政府は、福島第1原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質汚染水を海に放出する方針を固めた。国際社会のみならず自国内でも反対世論が圧倒的なのにも関わらず、海洋放出を強行することを決めたことから、漁業従事者や国際環境団体などの強い反発が予想される。

 毎日新聞などの日本の主要メディアは「(福島第1原発の)汚染処理水について、政府は、放射性物質の濃度を下げた後に海に流して処分する方針を固めた」とし、早ければ今月中に閣議決定する予定だと、16日に一斉に報道した。加藤勝信官房長官はこの日の定例記者会見で「福島第1原発の廃炉作業を遅延させないためにも、処理水の取り扱いについて、いつまでも方針を決めずに先送りをすることはできない」と述べた。

 福島第1原発は、2011年の東日本大震災に伴う爆発事故で稼動が中止され、廃炉作業が進められているが、核燃料の冷却水や地下水、雨水などの汚染水が増えている。日本政府は、2022年夏にはタンクが不足するとして、汚染水を2回浄化して海に放出する方策を進めてきた。今月中に方針を決めても、汚染水浄化設備の審査と整備に時間がかかり、実際の放出は2年後になる見通し。

 グリーンピースなどの環境団体や専門家は、今年2月に日本が海洋放出を検討していることが伝えられた直後から「汚染水を保管するタンクの敷地をさらに確保するなどの代案があるにもかかわらず、日本政府は海への放出を急いでいる」と批判してきた。

 最大の争点は汚染水の安全性だ。東京電力は「多核種除去設備(ALPS)」で放射性物質をろ過すれば、タンク中の汚染水には現行の技術で除去できないトリチウム(三重水素)だけが残ると説明してきた。しかし2018年の調査では、ALPSで浄化された汚染水の70~80%からセシウム、ストロンチウム、ヨードなどの人体に致命的な影響を及ぼす放射性物質が基準値以上含まれていることが分かり、日本政府の発表の信頼度にひびが入っていた。

 東京電力は、総量123万トンの汚染水のうち、最近1000トンをALPSで2次処理したところ、主な放射性物質の濃度が基準値未満に下がったと15日に発表した。しかし、2次浄化の結果は汚染水のごく一部であり、具体的な情報も公開されていないため、検証が必要な状態だ。また、トリチウムが環境に及ぼす影響は不確実なため、日本のような長期間(30年)にわたる大規模放出には、特に厳格な管理が必要だ。

 日本国内の反対世論も強い。日本の「全国漁業協同組合連合会」は15~16日、経済産業相、環境相らと会談し「(汚染水の海への放出が)日本の漁業の将来を壊しかねない」とし「(海洋放出に)絶対反対」と述べた。日本政府は4月から福島の関係者、関連団体などを相手に7回の公聴会を開いているが、反対世論が圧倒的だった。今年7月に終了した一般国民を対象とする「パブリックコメント」においても反対意見が多く、日本政府は結果を発表していない。

 韓国政府は、首相室傘下にタスクフォース(TF)を設置し、全省庁あげて日本の動きを注視している。汚染水が放出されれば1年以内に韓国の東海に到達する恐れがあるという研究結果もあることから、積極的に対応する方針だ。外交部の関係者はこの日、「国民の健康と安全を最優先の基準とし、日本の汚染水処分に関する活動を引き続き鋭意注視し、国際社会とともに対処していく」と述べた。

キム・ソヨン、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/966100.html韓国語原文入力:2020-10-16 17:48
訳D.K

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