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[社説]主権侵害のないよう国連軍司令部の「DMZ出入り許可」の改善を

登録:2020-10-06 06:31 修正:2020-10-06 07:06
江原道鉄原郡の非武装地帯近くの表示板に「非武装地帯は国連軍司令部管轄」と書かれている//ハンギョレ新聞社

 非武装地帯(DMZ)を通過したり、出入りするためには、必ず在韓国連軍司令部の許可を受けなければならないのかという問題と関連し、韓国国防部が「軍事的性質に属する出入りに限り、国連軍司令部が判断を下すべき」という初の公式な有権解釈を示した。国防部は先月30日、共に民主党のチョン・ヘチョル議員が行なった朝鮮戦争停戦協定に関する質疑に対し、このような答弁の書かれた資料を提出した。公式な有権解釈を示しただけに、国防部は非武装地帯への出入り過程で主権侵害の論議が再燃しないように、国連軍司令部と公式協議に乗り出すべきだ。これまで国連軍司令部は、南北鉄道共同調査など非軍事的目的の非武装地帯への出入りを明確な理由もなく許可せず、南北交流協力にブレーキをかけているとして批判を受けてきた。

 国連軍司令部の平常時の主な任務は、停戦協定の維持と管理だ。国連軍司令部は軍事境界線と非武装地帯の通過・出入りを許可する権限を行使してきた。いかなる目的であれ、非武装地帯に出入りしたり、軍事境界線を通過するためには、国連軍司令部の承認を受けなければならなかった。国連軍司令部はこの権限を利用し、南北関係に介入しているという指摘を受けてきた。2000年以降、南北首脳会談後に南北の交流協力が活発になる度に、国連軍司令部は明確な基準もなく非軍事的な非武装地帯への出入りを認めなかった。2018年8月には韓国政府が北朝鮮側の京義線鉄道を調査するために軍事境界線の通過を申請したが、許可されなかった。2018年4・27南北首脳会談の主な合意事項だった京義線・東海線鉄道の現代化事業は、初めから難航した。2002年、南北の道路・鉄道連結区間の地雷除去作業を相互検証する南北調査団の軍事境界線の通過を控え、国連軍司令部は韓国軍に国連軍司令部の承認手続きを踏むよう求めた。

 国連軍司令部は承認を許可しなかった理由として、大半が“安全”の問題を挙げているが、韓国政府は安全の確保された場所を対象に承認申請を行ってきているので説得力に欠ける。国連軍司令部が米国の利益を優先し、越権行為を行っているのではないかという疑問の声があがっているのもそのためだ。

 韓国政府は、国連軍司令部と協議し、主権侵害論議までもたらした非武装地帯の出入り許可手続きを改善しなければならない。停戦協定の序文は、国連軍司令部の権限について、軍事的な性質に属するものと規定している。このため、非軍事的目的の非武装地帯への出入りまで国連軍司令部が承認してきたことは、停戦協定の趣旨に合わないと言える。承認制ではなく届け出制に変えるなど、現実的な代案を見出すことができるだろう。韓国の国力にふさわしい改善策を模索してほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/964520.html韓国語原文入力:2020-10-05 19:56
訳H.J

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