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[寄稿]大転換の時代、新たな革新の出現

登録:2020-08-05 01:52 修正:2020-08-05 08:32

氷壁が崩れゆくことに対して、喪失の痛みを感じるにとどまるなら、新たに浮上する氷山の存在を否定することになる。既存の秩序を破壊して出てくる新たな氷山の登場、彼らはこの時代、社会的弱者の普遍的感受性で武装した新たな革新の主体勢力だ。数多くの決別の痛みにもかかわらず、我々はこの地殻変動を喜んで受け入れなければならない。

 すべての決別はひりつく痛みを伴う。長年の友との決別はなおさらだ。この数カ月間、予期せぬ事件が起きるたびに、大きな氷壁が割れるように、深い縁に亀裂や剥離が生じた。チョ・グクとユン・ミヒャンとパク・ウォンスンを守ろうとする人々は、四方から飛んでくる矢を体で受けとめてでも本陣を守らなければならないという危機意識に燃える。「保守メディアと大差ない論理だから」「彼らがしてきたこと、しようとしていることの歴史的意味を否定する行為だから」。擁護論者たちは批判を異端視して陰謀論と時期尚早論を叫ぶ。狭い井戸でこだまは増幅するが、井戸の外の世界は違う。

 パク・ウォンスンの死は私にとっても大きな衝撃だった。政治家としての評価はひとまず置くとしても、少なくとも人権弁護士として、市民運動家として、ソウル市長として、追求してきた価値と歩みが時代の変化の重要な牽引車の役割を果たしたということは明らかだ。しかし、誰に対しても、その人間の功はその人間の過失を黙認する理由とはなり得ない。朴正煕(パク・チョンヒ)の経済成長が彼一人だけの業績ではないように、仮に朴正煕の功を認めたとしても、維新独裁の罪を覆い隠すことはできないように、功罪論争は歴史的評価を幼稚で低劣な数式へと転落させる。私はパク・ウォンスンの悲劇的な退場に接し、そこに一時代の終焉を見る。彼の死をめぐって連日繰り広げられる論争は、革新主義の分化と新たな革新主義の出現を可視化する。

 一つの時代が終わり、新たな時代を迎えることは、混乱と当惑を伴う。しかし、それは苦労して築き上げてきた民主主義の成果に対する裏切りではない。民主主義の成果を独占したり私有化したりしてはならない。今は「犬とオオカミの時間」ではない。すでに新たな価値が登場し、既存の価値を押し出しつつある。氷壁が崩れゆくことに対して、喪失の痛みを感じるにとどまるなら、新たに浮上する氷山の存在を否定することになる。氷山の一部が突出しているに過ぎず、より大きな塊が水面下にある。ろうそく抗争で胎動した新たな民主主義の感受性、人権と公正と正義の文法が氷山の核心だ。私はこの新たな革新から民主主義の感受性を改めて学ぶ。

 新たな革新主義は正義を政略化しはしない。目の前にある暴力政権を倒すことが急務だった時代、私たちはそれを最上位の価値に置き、「大」の字をつけて「大義」と呼んだ。位階秩序や秘密主義、ジェンダー差別や性暴力のような「些細な」問題は、大義の戦略的重要性の下にあった。その程度までが80年代の世代が身につけた民主主義だ。87年以降の世代にとって、正義と人権は人物による、あるいは事案による軽重の区別がない。彼らにとって最高の価値は「すべての人間は尊厳を持ち、平等である」ということだ。市民運動家出身の市長であれ、平凡な会社員であれ、その人生の尊厳の重さは等しく100兆ウォンだ。戦略的大義のために別の正義と人権を差し出しても容認された時代は過ぎ去った。

 新たな革新主義は「縁」と「義理」の網からも自由だ。中高年の知識人たちが「共に歩んできた同志」として絶ちがたい縁と信義に縛られてためらっている時、新たな革新主義は逡巡しはしない。私的な縁と親交を公的な領域に引っ張り出してくることは、彼らにとっては「不当なインサイダー取引」だ。「数十年の歳月を語り尽くすことはできず、私は義理と信義を守り、あの方を尊敬した」と言ったチェ・スンシル(朴槿恵前大統領の側近)の義理論や、いわゆる革新派の人々が言う「民主化運動の過程で培われた信義と友情」は、新たな革新にとっては全く同じ旧態にすぎない。

 新たな革新主義に絶対的な敵味方は存在しない。彼らは、瑞草洞(ソチョドン)の集会と光化門(クァンファムン)の集会のどちらの側に立ったかで、一人の人間のアイデンティティを規定することに憤慨する。「チョ・グク長官の任命には反対するが、公捜処(高位公職者犯罪捜査処)を支持する可能性もあるし、公捜処には反対だが、検察改革に賛成する可能性もあるのに」なぜ瑞草洞対光化門、民主党対統合党の二分法のみで人を裁断するのか理解できないと話す。不安定労働と社会経済的地位の世襲が構造化された社会において、所得、職業、性別、地域、学歴、国籍といった、あらゆる部分にわたって社会的弱者が重層的に存在する。新たな革新主義にとって重要なのは権力的上下関係であって、政派的左右関係ではない。

 革新主義の時針は常に変化する。弱者の側に立つ者、不都合な真実を告発し、現状維持の慣性を破る者が革新派だ。既存の秩序を破壊して出てくる新たな氷山の登場、彼らはまだ政治的に名付けられていないだけで、この時代、社会的弱者の普遍的感受性で武装した新たな革新派の主体勢力だ。数多くの決別の痛みにもかかわらず、我々はこの地殻変動を喜んで受け入れなければならない。

//ハンギョレ新聞社

イ・ジンスン|財団法人ワグル理事長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/956404.html韓国語原文入力:2020-08-04 14:44
訳D.K

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