韓国政府は12日、首都圏の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の防疫強化措置を無期限延長することを決めた。1日の新規発生者が一桁に減るまでだ。当初の日程は14日までだった。防疫措置もいくつか追加された。この日も感染者が56人も確認されるなど、感染の拡散傾向が衰えていないことによる決定だ。しかし、既存の取り組みを多少強化するレベルの対策で目標達成が可能かは疑問だ。
政府はこの2週間、首都圏の8000あまりの公共施設の運営を中止し、遊興酒場のような大衆利用施設の運営を自粛させることを決めた。それでも1日30~50人台の感染者が発生し続けた。発生場所も物流センター、訪問販売業者、卓球クラブなどに拡散した。12日にはソウルのある高齢者介護施設で14人の感染が確認された。高齢のため治療も難しく、感染の発端となったある感染者は状態が重篤で疫学調査も困難が伴っているという。
6月に入り、首都圏の新型コロナ関連指標は様々な面で不安なシグナルを送っている。地域社会の感染者の97%以上が首都圏で発生している。活動範囲が狭いため伝播段階の最も後ろにいるはずの65歳以上が45%に達する。感染確定者一人が何人にウイルスをうつすかを示す「再生産指数」は1.2~1.8で、非首都圏(0.5~0.6)より2、3倍高い。人口が密集する首都圏で、ウイルスが蓄積されて起きる「大爆発の兆候」ではないかと懸念される。
政府は「高危険度施設」に高速道路のサービスエリアや飯場食堂(工事現場の食堂)を含むなど、いくつかの追加対策を打ち出した。「首都圏共同病床対応システム」を近く確定し、軽症患者を担当する共同生活治療センターも2カ所増やすことにした。しかし、消極的すぎるのではないかと思う。今の増加傾向が衰えなければ、遠からず1700床しかない首都圏のCOVID-19用病床数が足りなくなるのは避けられない。重症患者の割合が大きくなれば、医療スタッフの数も急激に不足するだろう。
公共の病床数を増やすことが抜本的な対策だ。しかし、多くの時間が必要だ。当面は市民たちの「距離置き」を大いに強化する必要があると思う。首都圏防疫強化措置施行後の先週末も、首都圏住民の移動量はほとんど減らなかった。少なくとも4月下旬の「緩和された社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)」のレベルに戻ることを政府は積極的に検討してほしい。このまま行けば、新規発生者が一桁になる日が果てしなく遅れるのではないかと心配だ。