韓国政府が12日、首都圏の防疫強化措置を無期限延長することにしたのは、最近、首都圏での連鎖感染が相次いで発生してるからだ。この2週間の防疫の最大の目標だった学校内の感染防止にはある程度成果があったと評価されているが、首都圏での散発的な感染は、2次、3次感染へと繋がり、急速に広がっている。
同日、政府と防疫当局の説明を総合すると、先週末(6月6日)までの2週間の1日平均感染者は39.6人で、今週に入っても30~50人台だった。5月29日から11日まで発生した国内患者のうち96.4%が首都圏で発生しており、集団感染事例の最初の患者が明らかになった時、すでに3~4次感染まで発生するほど拡大のスピードが速いというのが防疫当局の判断だ。京畿道富川(キョンギド・プチョン)のクーパン物流センターと宗教関連集会、訪問販売会社のリッチウェイ、陽川卓球クラブなどで感染者が相次いでいる。
特に、最近の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散傾向は、高危険群の老人層にも広がっているという点で、防疫当局は警戒を強めている。ソウル道峰区(トボング)の高齢者療養施設「誠心デイケアセンター」関連の感染者は同日午後6時基準で15人に増えた。同センターは軽症認知症や老人性疾患のある高齢者が美術や音楽など授業を受け、運動治療サービスを受ける施設だ。ソウルで発生した初の療養施設での集団感染だ。中央防疫対策本部の集計によると、訪問販売会社のリッチウェイ関連の感染者は139人(昼12時基準)に増えた。教会やコールセンター、語学学校などを通じて感染が広がっているが、年齢別では約45%が65歳以上の高齢者だ。京畿道広州(クァンジュ)の「幸せな療養院」でも、感染者が10人に増えた。仁川市が高危険施設と脆弱階層を対象に無料検査を実施するなど、積極的な対策に乗り出したのも、このような背景からだ。
高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は、「感染者が発生すると、最初は主に活動範囲が広い人たちの感染リスクが高まるが、その後、感染拡大が続けば続くほど活動範囲が狭い人々へと広がる。こうした側面から、最近感染者の平均年齢が高くなったのは、感染がかなりの間進んでいることを示すもので、これは重症になる人も多くなるという意味だ」と述べた。
この2週間、感染経路不明の感染者の割合も10%に迫る。先月29日からこの日まで発生した感染者601人のうち、感染経路を調査中の事例は56人で9.3%に達する。
韓国政府は防疫のレベルを決めるため、次の4つの指標に注目している。一日の新規感染者や新規集団発生件数、感染経路不明の新規感染者の比率、防疫網内で管理される割合だ。中央災害安全対策本部のパク・ヌンフ1次長は同日ののブリーフィングで、「(生活防疫から再び)社会的距離措置に切り替えるためには、一日の新規感染者が50人以上、2週間以上続くかどうかが重要な指標となるだろう」と述べた。
同日、政府は考試院(簡易宿所)や長屋街に対する点検など追加措置も打ち出したが、最近の感染拡大を食い止めるには不十分ではないかという指摘もある。高麗大学九老病院のキム・ウジュ教授(感染内科)は、「首都圏の防疫強化措置を無期限延長するというが、国民の警戒心が低くなっており、心理的にも緩んでいる状況で、感染者の増加を食い止めるためには、距離置きを実質的に強化できる措置が必要だ」とし、「また、地方自治体ごとにそれぞれ計画を打ち出しているが、首都圏が一つの生活圏であることを考慮すれば、一貫して明確な対策を立てる必要がある」と述べた。