世界保健機関(WHO)総会を来週に控え、世界各国の指導者と専門家140人が「全人類のためのワクチン」と題する共同書簡を14日(現地時間)に国連サイトに発表した。安全で有効な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンや治療薬が開発されれば、速やかに大量生産し、世界の全ての人々に無償で供給するよう求めたのだ。
彼らは、豊かな国が資金を出して全世界的なワクチンと治療薬の製造・供給計画を立てて透明に供給するとともに、何よりもCOVID-19と最前線で闘う医療陣、脆弱階層、貧困国に優先的に供給すべきだと強調した。特に「今は最も豊かな企業と政府の利益を、命を救うという普遍的要求より優先したり、道徳的任務を市場の力に任せたりしてはならない時期」と訴えたところが心に響く。この書簡には、南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領、パキスタンのイムラン・カーン首相、パリ経済学校のトマ・ピケティ教授らが参加し、韓国からはハン・スンス元首相やケンブリッジ大学のチャン・ハジュン教授も名を連ねる。
人類を襲ったCOVID-19危機を乗り越える希望たるワクチンと治療薬は、特定国家が独占したり製薬会社の金儲けの手段にしてはならない。このような点で、全世界でワクチンと治療薬を共有しようという提案が出たことは歓迎すべきことだ。ワクチンと治療薬の開発が成功したとしても、最も切実な人に必要な時に供給されるかは懸念が高まっているのが現実だ。米国は今月初め、ワクチン開発のための国際協力会議と資金提供をボイコットした。フランスの製薬会社サノフィは、資金を援助した米国にワクチンを最優先で供給すると明らかにし、物議を醸している。直ちにフランスのマクロン大統領が激怒し、ワクチンは公正に供給されなければならないと反ばくした。多国籍製薬企業ギリアドが治療薬候補のレムデシビルで暴利をむさぼろうとしているという「薬価ぼったくり」疑惑も持ち上がっている。
ミャンマー政府の迫害から脱出した100万人のロヒンギャの人々が居住する世界最大の難民キャンプで感染者が発生するなど、最も力のない人々がCOVID-19の脅威の前になす術もなく放置されている。国際社会が立ち上がらなければならない。豊かな国や人々だけがワクチンや治療薬を持つことになれば、COVID-19は世界のいたるところで繰り返し出現し、人類を絶えず攻撃するだろう。共存と連帯のみが人類を救う道である。