米国と中国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の中国責任論について正面衝突している。米国のドナルド・トランプ大統領とマイク・ポンペオ国務長官は最近、相次いで「新型コロナウイルスが中国湖北省武漢のウイルス研究所から出たという証拠がある」と主張した。新型コロナウイルスは自然発生したのではなく、中国が作ったとの主張だ。これに対して中国中央テレビ(CCTV)は「邪悪なポンペオが毒を吐き出し、嘘を広めている」と激しく反発した。
世界保健機関(WHO)は4日、メディアとの会見で「確保した1万5000個の新型コロナウイルスの遺伝子配列を見ると、全て自然発生したものだ。武漢起源説は推測に基づく」と明らかにしたが、議論は止まらなかった。再選に挑戦するトランプ大統領は、自分に提起されたCOVDI-19対応の遅れのような批判を「中国責任論」で覆い隠そうとする。中国の習近平主席も、COVID-19の初期対応の失敗により失墜したリーダーシップを挽回しなければならない立場に置かれている。二つの超大国いずれも力比べで一寸も退くことができない状況だ。トランプ大統領が中国に「関税賦課」で威嚇し、世界各国は米中貿易戦争に広がる可能性さえ心配している。
しかし、米中が「COVID-19で協力」せずに対決と葛藤へとエスカレートするのは、極めて無責任だ。新型コロナウイルスを克服するには国際協力が重要で、特に二つの超大国の責任は重いと言える。多くの発展途上国が先進国に、COVID-19の治療薬とワクチンを早く開発して公平に分配してほしいと要請している。WHOも「真のCOVID-19国際協力の成功の尺度は、安全かつ効果的な道具をいかに早く開発できるかだけでなく、いかに同等に分配できるかになるだろう」と強調している。
特に米国のトランプ大統領が自国優先主義を掲げて、終始一貫COVID-19国際協力を無視する態度を示すのは残念だ。WHOへの支援中断を宣言したのは一つの例だ。世界40カ国と篤志家が4日、「COVID-19オンライン会議」を開き、ワクチンと治療薬の開発に82億ドル(約10兆ウォン、約8700億円)を寄付したが、米国は参加しなかった。
世界がパンデミック克服に知恵と力を集めなければならない時だ。特に「G2」と呼ばれる米国と中国が模範を示さなければならない。国際社会のリーダーが消えたという意味の「Gゼロ時代」という指摘がなぜ出るのか、両国は念頭に留めておかなければならない。