ソウル市内のクラブから始まった集団感染者が、週末を経て74人(10日夕方9時時点)に増えた。そのうち70人が人口密度が高い首都圏の住人で、大部分が活動性の高い若者であるため、二次感染が深く憂慮される。非常対応が必要な状況だ。
まず、感染者が出た遊興施設の訪問者に対する感染の有無の確認と隔離が重要だが、入退出者名簿が不正確で当局の対応に限界がある点が問題だ。疾病管理本部のチョン・ウンギョン本部長は、4月末から5月6日まで梨泰院に所在のクラブの訪問者に外出自粛と保健所への問い合わせなどを勧告した。これまでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)克服の過程で見せた高い市民意識が、いつにも増して切実だ。
該当のクラブの訪問者の性的指向を浮き彫りにするなどのレッテル張りや嫌悪助長行為にも、強力に対処しなければならない。それ自体が反人権的であるうえ、防疫を妨害することにより社会全体を危険に陥れる態度であるからだ。感染者の私生活の保護にも万全を期する案を迅速に用意しなければならない。
ソウル市と京畿道、仁川市(インチョンシ)が、管内の遊興施設に集合禁止の行政命令を出したのは、遅い感があるが適切な措置だ。クラブのような施設は当初から相対的に強い規制が必要だった。COVID-19対応が生活防疫に転換されはしたが、必要な部分には防疫指針を区別して強化する「オーダーメイド型政策」が急務だ。遊興施設以外にも、密閉や密集度、距離措置の規則遵守の有無などの危険要素を突き詰めて、防疫の隙になりそうな点に対しては対応のレベルを高めなければならない。自治体別でも積極的な判断が要求される。
今回の集団感染が拡散したことにより、生活防疫への転換や順次登校始業を見直さなければならないとの指摘もある。当局は危険度の評価と対応の方向を議論中だという。施設や地域別に差別化した対策は急ぎ、必要な状況になれば、全面的な距離措置の再強化も機を逃がしてはならない。