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[社説]緩んだ雰囲気に警鐘を鳴らした「クラブ集団感染」

登録:2020-05-09 07:25 修正:2020-05-09 18:39
7日午後、新型コロナウイルス感染者が発生したソウル梨泰院のある遊興施設に新型コロナ予防関連の案内文が張られている//ハンギョレ新聞社

 憂慮されていた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)集団感染が再発した。「生活の中の距離措置」(生活防疫)を開始してからわずか2日で、ソウル市内のクラブで15人の感染者(8日夕方7時時点)が出て、最初の感染者の職場で1人、そしてクラブで感染した別の感染者の姉が追加で感染した。8日、疾病管理本部は今月2日に最初の感染者が立ち寄ったクラブ3カ所の訪問者が1500人以上だと明らかにした。集団感染者数が急速に増える可能性を排除できないとの意味だ。直ちに来週から始まる「順次登校始業」を控えてこのようなことが起こり、さらに心配だ。

 クラブや遊興酒場、ラウンジバー、コーラテック(酒を提供しないダンスホール)などの遊興施設は、換気が悪くて密度が高く、集団感染の危険が高い代表的な場所として挙げられていた。先月20日から今月5日まで実施された「運営制限」期間でも、マスク着用と個人間の距離確保などの防疫規則が十分に守られていないとの指摘が続いた。今回の最初の感染者もマスクを付けていなかったことが確認された。入退出者の名簿も不正確で、疫学調査には困難が伴うという。集団感染が起きたと推定される時間と場所にいた人々はまず自宅隔離して、有症者は直ちに感染検査を受けなければならない。「私一人くらいは」との油断が、自分の家族はもちろん社会全体を大きな困難に陥れることがあり得る。

 しかも、集団感染が発生したと推定される2日は、生活防疫に転換する前だった。多くの人々が経済的被害を甘受して「社会的距離措置」(ソーシャル・ディスタンシング)を実践している時にこのようなことが起きたということは、生活防疫に転換しても緊張の紐を緩めては絶対にならないという事実を示してくれる。特に感染の危険が高い遊興施設の出入りはしばらく慎む必要がある。政府も8日夜から1カ月間、全国の遊興施設に「運営自制」を勧告する行政命令を下した。防疫指針を守らなければ運営が制限される。

 ただし、防疫規則遵守に対する警戒心を高める契機にならねばならない今回の集団感染が、個人情報晒しとレッテル張りに繋がるのは困る。すでに一部のメディアと自治体で感染者の情報が過度に公開された。差別と嫌悪を助長するだけでなく、検査を受けなければならない人々まで隠れさせるようにして、共同体の安全をさらに強く脅かすことになり得る。COVID-19事態では個人の安全は他人とクモの巣のように繋がれている。排除ではなく連帯だけが感染拡大を防ぐことができるということを忘れてはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/944212.html韓国語原文入力:2020-05-09 02:05
訳M.S

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