コロナ禍による「雇用ショック」が現実のものとなりつつある。すでに失業手当の申請額が急増している中、3月には就業者が大きく減り、「一時休職者」が急増した。特に臨時・日雇いや零細自営業者などの脆弱階層が直撃を受けている。雇用危機を克服するため、政府の実効性のある雇用対策と経済主体間の「苦痛の分担」が切実に求められる。
統計庁が17日に発表した「3月雇用動向」によると、就業者数は昨年同月に比べ19万5千人減った。世界金融危機当時の2009年5月(24万人減)以来、最大の減少幅だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡散防止のため、強力な社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を実施したことにより、売上が急減した卸・小売業、宿泊・飲食店業、教育サービス業などを中心に雇用が大きく減ったためだ。
まだ就業者に分類されているものの、一時的に仕事をしない一時休職者も急増しており、懸念は増すばかりだ。一時休職者は160万7000人で、昨年3月より126万人も増えた。増加率は実に363%にのぼる。1983年7月の統計作成開始以来の最大値だ。感染症の拡大に対する懸念から政府支援の高齢者雇用事業が延期され、サービス業種を中心に無給休職が増えたためだ。一時休職者は一定期間が過ぎれば就業者として復帰するのが一般的だが、経済事情が改善されなければ失業状態に陥りやすい。国際通貨基金(IMF)は14日、「世界経済は1930年代の大恐慌以来、最悪の低迷に直面するだろう」との見通しを示した。実際、中国は17日、今年第1四半期の経済成長率がマイナス6.8%と、史上最低を記録したと発表した。今後、雇用情勢が今よりさらに悪化し得るということだ。
ホン・ナムギ経済副首相は17日、雇用関係閣僚会議でCOVID-19発の雇用ショックについて議論した後、週明けにも雇用安定総合対策を出すと述べた。政府も、総選挙後の最大の課題は経済危機の克服であり、その中でも雇用安定だということは明確に認識している。雇用を維持する企業に対する人件費補助の拡大など、すでに発表している対策に加え、支援期間(4~6月)の延長が必要だ。日雇い、フリーランス、特殊雇用職などの雇用保険の死角に置かれている脆弱階層に対する実効性ある対策も急がれる。「韓国型失業扶助(国民就業支援制度)」の早期導入も積極的な検討に値する。
ただ、状況の厳しさに照らすと、政府による対応だけでは限界がある。企業は何よりも雇用維持に最善を尽くすべきであり、労働界も雇用を守ることに協力を惜しんではならない。折しも、385の諸市民社会団体や宗教団体が近く全国連帯組織を結成し、「社会的対話で雇用危機を解決しよう」という提案をする予定だという。雇用危機克服に向けた社会的共同対応の糸口となり得るということで注目される。直ちに足元の火を消すことはもとより、コロナ禍後に備えるためにも、全ての経済主体が力を合わせなければならない。