韓国国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の完治率が週末を境に50%を超えたが、海外からの流入による新規感染者の発生や療養病院などの集団感染が相次ぎ、安心できない状況だ。感染者がなかなか減らないことを受け、韓国政府は来月1日から海外からの入国者全員に自主隔離を義務付けるという対策を打ち出した。また、4月5日まで「強力な社会的距離置きキャンペーン」以降、生活防疫体系への転換と関連し、医学・防疫専門家と労使市民社会代表が参加する社会的合意機構を設け、協議する予定だと発表した。
29日、中央災難安全対策本部(中対本)は、「4月1日午前0時から、地域と国籍を問わず、入国者全員を2週間義務的に自主隔離する原則を導入する」と発表した。外交(A1)・公務(A2)・協定(A3)のビザで入国する場合と入国前に韓国大使館で事業・学術・公益目的で訪問の妥当性を認められ、「自主隔離免除書」を事前に発給された場合のみ、例外的に電話で状態を確認する能動監視の対象となる。世界的にCOVID-19感染者が爆発的に増え、海外からの流入による感染者の発生が相次いでいることから、追加措置が必要だと判断したのだ。
旅行などで韓国を訪れる短期滞在外国人のように、自主隔離が難しい場合は、国や地方自治体が用意した施設で2週間隔離される。この際、費用は内・外国人にかかわらず、隔離当事者が負担する。政府は1日10万ウォン(約8900円)前後、計140万ウォン程度の費用が発生すると予想した。自主隔離者は隔離期間に症状が現れた場合、管轄の保健所で検査を受けなければならない。中対本は、該当措置が適用される前の2週間のあいだに入国した人に対しても自主隔離を勧告し、検査を受けるようにする計画だ。パク・ヌンフ中対本1次長は「観光目的で来た方々には入国制限に近い措置で、あえて厳しい入国制限を行わなくても実質的な効果を収めることができる」とし、「経済が回復して社会が維持される必須事案があり、ある程度まで国外に出ることができる余地を残しておいた」と説明した。
先週末を基点に隔離中の感染者より完治者が多くなった状況だが、防疫当局は今後、海外からの流入による地域社会内へのさらなる感染拡大を遮断することがカギになると見ている。同日0時基準で、新規感染者は前日より105人増え、累積感染者数は9583人と集計された。隔離解除(完治)された人が5033人で、隔離中の感染者4398人を上回っている。新規感染者のうち海外からの流入関連事例は41件で、全体の39%にのぼる。チョン・ウンギョン中央防疫対策本部本部長は「最近2週間の感染経路を見る限り、海外からの流入が最も多い」とし、「韓国国民の帰国による海外からの流入事例が全体の40%以上を占める可能性がある」と述べた。欧州(23人)と米国を含む米州地域(14人)が最も多く、中国を除いたアジア地域から来た感染者は4人だった。
以前に比べ、大規模な集団感染の事例は減ったものの、病院や宗教施設の感染も続いている。大邱(テグ)の第2ミジュ病院では同日まで75人の感染者が発生しており、ソウルでも九老区(クログ)の万民中央聖決教会を中心に13人の感染者が出た。隔離解除後、再感染した事例も相次いでいる。京畿道金浦(キンポ)では30代夫婦と生後17カ月の娘が15~20日に2回連続で陰性判定を受けて退院したが、27日に家族共に再び感染が確認された。
中対本は医学的専門性だけでなく、社会的にも国民が受け入れられる指針を作るため、社会的合意機構を設ける計画だ。国民の意見を代弁できる社会の各部門の人物を委嘱しているというのが、中対本の説明だ。また、日常生活で国民が必ず守らなければならない5つの主要規則を決め、それに基づいて対象別、場所別、状況別の細部指針を作成することにした。専門家らも慎重に生活防疫に移行すべきだという意見を出している。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「海外からの流入や地域社会内で接触者が引き続き発生しており、当分は一日で70~130人の感染者が出るだろう」とし、「直ちに生活防疫を取り上げるよりは、まず有症者を中心に検査を実施し、自主隔離がきちんと行われているか確認することで、管理を強化することが重要だ」と話した。