共に民主党が「選挙で民主党以外に投票すべき」との内容のコラムを寄稿した大学教授と新聞社を公職選挙法違反の容疑で検察に告発したものの、党の内外で反発が起きると直後の14日に急遽取り下げた。政権与党がメディアの批判の口を封じ表現の自由を萎縮させる傲慢な態度を示したとの批判は免れ難い。告発の取り下げ過程も形式的な「遺憾表明」に留まっており、少し安易に見える。民主党は今回の件を単純な騒動程度と軽視せず、これまでの態度を点検して自省する契機にしなければならない。
問題のコラムは高麗大学のイム・ミリ研究教授が京郷新聞に1月に「民主党以外に」と題して寄稿したものである。民主党が「国民の熱望より政権の利害に没頭している」と批判して「民主党以外に投票しよう」と書いた。政府与党を直接批判したことについて実定法の基準を突き付けること自体がナンセンスだ。コラムに対する反論権の保障など適切な救済手続きがあるはずだが、直ちに刑事告発をしたのは常軌を逸している。コラムの適切性の可否判断は基本的に読者と有権者の役割だ。民主党の告発は自由な批判と討論を通じて公論の場を形成していくという民主主義の原則に反する。
民主党は、今回の騒動が「チョ・グク事態」を経て、党内外の苦言に極めて硬直した反応を示してきた態度から始まったのではないかとの憂慮が出てくることを、十分に察しなければならない。民主主義は多様性と相互尊重を基盤とする。ろうそく政権を掲げる政権与党であるなら、より謙虚かつ低姿勢で批判的な声に耳を傾けなければならない。
民主党が告発を取り下げながら「イム教授は安哲秀(アン・チョルス)シンクタンクの実行委員出身」と言ってその経歴を公開したことも適切ではない。「告発措置が過度だったことを認めて遺憾を示す」と言っただけで、何が過度で遺憾であるかも明確にしなかった。そのようないい加減で済ませることではない。
民主党は今回の騒動の経緯を明らかにして党として謝罪するのが正しい。党内で告発の撤回を求めたキム・ブギョム議員は「私たちは民主主義の価値を守ってきた政党で、言論の自由が重要な価値だと信じる政党」と言った。
選挙の有利不利から離れて、民主主義の基本価値の問題には徹底的に対応する姿を見せてほしい。イ・へチャン代表の名義で告発が行われただけに、イ代表が直接国民に党の立場を説明するのも一つの案だろう。