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[社説]衝撃的な旅客機イラン撃墜説、真相究明を

登録:2020-01-11 02:49 修正:2020-01-11 08:06
ウクライナ国際航空所属の旅客機が8日(現地時間)、テヘランのイマーム・ホメイニ空港を離陸直後に墜落。救助チームが事故現場を見回っている。米国など西側諸国はイランのミサイルによるものと判断している=テヘラン/IRNA AFP聯合ニュース2020-01-10

 8日(現地時間)にイランのテヘラン空港付近で墜落し搭乗者176人全員が死亡したウクライナ航空機事故は、イランのミサイル発射によるものだという主張が提起された。事実なら、故意であれ誤りであれ、民間旅客機をミサイルで撃墜したことになり衝撃的だ。イラン政府と国際航空当局は、事件の真相を一点の疑惑も残さず徹底的に究明すべきだ。

 同機の墜落は当初、機械の故障によるものとされたが、ニューヨーク・タイムズが9日に事故の瞬間が映った動画を公開し、「ミサイル攻撃による墜落」の可能性が急浮上した。この動画には、暗い夜空でミサイルと見られる物体が旅客機にぶつかって閃光を放つ場面が映っている。ニューヨーク・タイムズは「映像はテヘラン空港付近の上空で撮られたもの。場所は墜落した旅客機の交信が途絶えた地点」と伝えた。米政府は、同機がイランの保有する地対空ミサイルに偶発的に攻撃されたものと把握していると、他の米報道各社は報じた。

 これに対しイラン政府は「イランを狙った心理戦」として全面否定している。しかし動画をはじめ、自国民の乗客が死亡したカナダや英国の政府の反応を見れば、ミサイル攻撃の可能性が高いのも事実だ。この事故は8日未明、イランによるイラクの米軍基地に対する奇襲的なミサイル攻撃の5時間後に起きた。当時は米国とイラン間で軍事的緊張が最高潮に達していた状況だったので、イラン軍がテヘラン空港を離陸したばかりの旅客機を米軍の反撃と誤認した可能性もある。たとえそうだとしても、170人あまりの罪のない人の命を奪った事件の政治的、道徳的責任を免れることはできない。真実を正確に明らかにすることが最善の道であることをイラン政府は知るべきだ。

 イランはカナダや英国だけでなく、敵対国である米国の国家運輸安全委員会(NTSB)と同機を製造したボーイング社の事故調査への参加も認めることを明らかにした。被害者の納得する公正で客観的な調査結果を出すためには絶対に必要な措置だ。しかし、惨事の現場で回収した飛行記録装置(ブラックボックス)は「米国には渡さない」と一線を引いている。イランは、調査チームがいかなる資料や証拠物件にも自由にアクセスできるようにし、支援すべきだ。

 今回の惨事は、イラン地域の軍事的緊張の高まりが第3国の民間人の命と安全に、いかに脅威となり得るかをよく示している。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/924008.html韓国語原文入力:2020-01-10 18:48
訳D.K

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