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[コラム]燃える地球、無責任な政治

登録:2020-01-10 09:12 修正:2020-01-11 08:29

オーストラリアは多くの観光客を誘う特別な国になった。ところが、その国は今、これまでにない悲惨な災難に見舞われている。この事態がちゃんと収拾されなければ、オーストラリアは三流国家に転落するかもしれない。

//ハンギョレ新聞社

 年が明けたとはいえ、世界は相変わらず、 いやますます荒々しく波立っている。暗澹たる将来のために韓国を離れたいという若者が大幅に増えているという世論調査は、我々の心を痛めさせる。そんな若者たちを寛大に受け入れてくれる外国はあるだろうか。今は難民の時代、さすらう流民がはびこる時代だ。ところがよく見ると、今日の難民は基本的に「環境難民」といえる。例えば、欧州と米国で最も難題の懸案になっているイスラム難民や中南米の難民は、何よりも深刻な干ばつと飢饉から生き残るための流浪民だ。より劇的なケースは、上昇する海水のため,

住み続けられなくなった南太平洋の島々の住民たちだ。彼らの一部は国際援助機関や隣国の助けで大きな陸地に移住することがこれまでは可能だったが、今後どうなるかは極めて不透明だ。いまは苦境に立たされていない国がないからだが、代表的な例はオーストラリアだといえる。

 これまで南太平洋の島国の人々の移住を助けたオーストラリアが、いま手の施しようのない森林火災で阿鼻叫喚と化している。これまでに韓国の面積の半分が焼けてしまったオーストラリア南東部は、文字通り廃墟となってしまった。写真だけ見ても、同地域の最大の都市シドニーの空はすっかり血の色であり、立ちこめた煙が都市全体を覆っている。その濃い煙の中、家を捨て去る人々、老若男女を問わず皆が狂ったようにヘリコプターの方へ走って行く姿は、地球の終末の日を描いた映画の場面と少しも変わらない。報道によると、すでに20人以上の人命が犠牲になり、多くの家やコミュニティが崩壊し、夥しい数の生命体が焼け死んだ。軍隊まで動員されたが、この災いがいつ終わるのか、終わる日が来るのか、いまは誰にも分からない恐るべき状況が続いている。一部の地域では多少の雨が降り、山火事の拡散のスピードが少し鈍くなったというが、火の手はすでにあまりにも広く、深く広がってしまった。さらに例年のケースからいえば、オーストラリアの山火事が本格化するのはこれからだという。都市民の暮らしもだが、森の中の原住民、動植物、そして貴重な生態系がどれほど破壊されるだろうか。

 オーストラリアは長い間、我々の脳裏に美しく清浄な自然の国、原始的な静寂が損なわれず保存されている国であった。またその浜辺は爽やかな風に吹かれ、波の音を聞きながら広々とした長い砂浜を裸足で歩く楽しさを満喫できる場所であった。むろん昔はどこでも存在したそのような場所は、地球全体が開発の狂風に巻き込まれ、いつの間にか特権的な場所に変わってしまったため、オーストラリアは多くの観光客を誘う特別な国となった。ところが、その国が今、これまでにない悲惨な災難に見舞われている。この事態がちゃんと収拾されなければ、オーストラリアは三流国家に転落するかもしれない。

 しかし、他者の不幸に対して残忍なことを言うようだが、オーストラリアの悲劇は自ら招いた面が大きいと言える。すなわち、今回の山火事は自然的でありながら、同時に非自然的な災害といえるからである。多くの科学者も指摘したが、特に地元の消防専門家は、今回の山火事が制御不能な状態になった決定的な要因が気候変動にあることを強調している。27年間の山火事鎮火の経歴を持つある地元の消防責任者は、自分が生涯経験したものの中で、今回のように強度が強くてスピードの速い山火事はなかったと言う。だからオーストラリアの今回の山火事は、乾燥して暑い季節のたびに繰り返される単なる山火事災害ではないということだ。オーストラリア北東にある世界最長のサンゴ礁(グレートバリアリーフ)が大規模に死滅しつつある現象も同様の原因、つまり地球温暖化による海水温度上昇のためだと科学者たちは指摘している。

 私はオーストラリアのように「優れた環境」を持つ国になぜ環境論者が多いのか知りたいと思ったことがある。そして分かったのは、意外にもオーストラリアが生態的に非常に脆弱な国であるという事実だった。今もオーストラリアの都市の平均気温は連日40度をはるかに上回り、穀倉地帯にも干ばつが数年間も続いている。水不足の事態も深刻だという。さらに、当分はオーストラリア大陸に雨がほとんど降らないという専門家の予測がある。気候変動の影響で降雨前線が大陸下に下がった地点でしか形成されないというが、この予測通りならオーストラリア全域が砂漠に変わるのは時間の問題となるだろう。

 これが気候変動のせいであることは言うまでもない。にもかかわらず、オーストラリア政府は気候変動と化石燃料の関連性を認めず、気候変動を心配する市民の声を無視してきた。この点では与党も野党も区別がないとみられる。政治家はなぜこのように愚かで無責任なのか。その主因は化石燃料産業に過度に依存しているオーストラリアの経済構造にあることは明らかだ。現在、世界全体の二酸化炭素排出のうち、オーストラリアが占める割合は3.1%だ。オーストラリアの人口(2700万)が世界全体の0.3%ということを考えれば、大きな道徳的責任を感じなければならない割合といえる。しかし、それよりもさらに重要なのはオーストラリアが世界最大の石炭および天然ガス輸出国であるという点だ。しかも、これを輸入して使う国々(中国、インド、日本、韓国、東南アジア諸国)は、概ね環境規制が緩く、開発の欲望が非常に強い国々だ。だから自分の化石燃料の消費量に関わらず、オーストラリアは地球温暖化の主犯に属する国であることに違いなく、その点で今回の山火事の災害は因果応報という側面が明らかに存在するといえる。

 オーストラリアの災害は対岸の火事ではない。化石燃料の依存度がオーストラリアに劣らない韓国の経済を考えればなおさらだ。現在、貿易依存度が特に激しい韓国の主要輸出・輸入品は石油関連製品一色だ。産油国でもないのにこれほど奇異な韓国経済の枠組みは、いつどのような破局に見舞われるか分からない気候変動の時代に、極めて危うい自滅的構造と言わざるを得ない。あらゆる情況から見れば、いま我々にとって最も緊急なのは炭素経済を清算し、生態文明に転換するための熾烈な模索と社会的討論、そして政治的選択だと言える。にもかかわらず、いま韓国のメディアや知識人たちは(突き詰めれば化石燃料時代の既得権の構造を維持し強化するメカニズムに過ぎない)選挙の話ばかりして、貴重な時間を浪費している。

//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンチョル『緑色評論』発行人 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/923879.html韓国語原文入力:2020-01-10 02:07
訳C.M

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