本文に移動

[社説] 原発拡大政策に回帰するな

登録:2013-11-10 20:21 修正:2013-11-10 21:32

 原発依存の割合を減らすかに見えていた政府が、果たして拡大する側に回る意向を表わした。福島原子力発電所の事故以後、世界的な脱原発の流れに逆行して李明博政府の原発拡大政策に回帰しようとしているのだ。原発は頻繁な故障と送電塔問題で分かるように、安全でも経済的でもないということが判明した。原発に依存する古いエネルギー政策を継続するのではなく、脱原発の方向で電力需要管理に積極的に取り組むべきだ。

 国家のエネルギー基本計画樹立のための官民実務作業班は、先月原発依存の割合を2035年までに22~29%の範囲に決定するよう政府に勧告した。2008年に立案した李明博政府のエネルギー基本計画は2030年までに原発依存割合を41%に増やすということだったので、勧告案はその半分程度に減らせというものだった。しかし政府は今月示したエネルギー基本計画案で、原発依存割合を実務作業班が出した最高水準(29%)程度に高める意向を表わし、勧告案をお飾り的なものにしてしまった。2035年までに原発依存割合を現在のレベル(26.4%)より高い29%にするならば、計画されている原発11基の他にも追加で原発を作らなければならない。さらに政府が電力需要の予測値自体を高めたために、実際の原発数は李明博政府時の目標に比べてわずか1機少ないだけという。

 政府は電力需要の増加などを考慮する際に現実的な代案を見出しにくく、原発依存割合を低くするのは難しいという。原発を化石燃料に変えた場合、電気料金の引き上げと温室ガス排出量増加などの問題が発生するというのだ。しかし脱原発政策を展開しながらも好況を享受しているドイツを見れば納得し難い。ドイツは原発が廃棄される2022年までに新再生エネルギーの比率を18%から35%に引き上げるとして、これを新たな成長の原動力にしている。世界の新再生エネルギー発電量は2010年にすでに原発発電量を追い越したと言うのでそれもうなづける。原発は発電単価は安いものの、事故の危険と廃炉費用などを考えると決して経済的とは言えない。原発建設は後の世代に負担を押し付ける無責任な行為であると言われる所以だ。

 2035年までに年平均2.5%ずつ電力消費が増加するという需要予測も問題だ。電力消費をあおった過去のエネルギー政策を踏襲して需要予測に反映させた面があるためだ。実際に2005~2011年には年平均増加率が2.3%であり、増加傾向は鈍化している。第1次エネルギー基本計画では年平均2.2%増の予測をしていたが、これを遥かに越える2.5%の予測値になったのは、産業界と、原発拡大に死活をかけた原発族の圧力が作用したという疑念をぬぐえない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/610406.html 韓国語原文入力:2013/11/08 19:09
訳T.W(1230字)

関連記事