韓国政府が韓日両国企業の自発的な出資金で財源を造成し、強制徴用被害者を救済する「和解案」を19日、日本に提案した。2018年10月、最高裁判所(大法院)の強制徴用被害者賠償判決後、韓国政府が直接問題の解決案を提示したのは初めてだ。徴用被害者賠償問題をめぐって最悪の状況に陥った韓日関係に新たな転換点を作ろうとする試みと見られる点で、注目に値する。これに対し、日本政府は「解決策にはならない」として、拒否の意思を明らかにしたという。事態の根本的な責任が日本側にあるにもかかわらず、このような態度を見せるのは残念だ。
政府の提案は、これまで多くの専門家の間で「説得力のある解決策」として取り上げられてきたものだ。政府は具体的に韓日両国のどの企業が出資に参加するかについては言及しなかったが、日本では徴用の恩恵を受けた日本製鉄(新日鉄住金)や不二越、三菱電機などが、韓国では1965年韓日請求権資金の恩恵を受けたポスコなどが含まれるものと見られる。徴用と直接・間接的に結びついている韓日両国の企業が財政負担を分かち合い、被害者を救済しようということだ。
今回の提案が今月末に日本の大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議を控えて示されたという点も意味がある。この事案に直接介入することを避けてきた韓国政府が新しい提案をしたのは、G20期間中に韓日首脳会談を開き、関係復元を試みるという意味として受け止められる。にもかかわらず、日本が直ちに拒否意思を明らかにしたのは納得しがたい。
日本外務省は「韓日請求権協定による仲裁委の構成を韓国政府に要求する立場には変わりない」と明らかにした。韓国政府の一方的な譲歩を働きかけるという意味に聞こえるが、「盗人猛々しい」と言わざるを得ない。この事案が戦後70年が経ったにもかかわらず問題になるのは、日本が徴用被害者たちに心から謝罪せず、公正に賠償もしなかったからだ。それに対する省察もなく被害当事者の意思が反映されていない1965年の請求権協定を隠れみのにするのは、問題を解決しようとする姿勢ではない。日本は韓日関係を今のように悪化した状態で放置してもいいと思っているのかを問いたい。
すべての責任を請求権協定に任せて、知らぬ存ぜぬの態度では、両国関係のいかなる未来志向的発展も期待しがたい。日本は、韓国政府の提案を真摯かつ前向きに検討し、新たな解決策を講じる対話の足掛かりにすることを望む。