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韓国政府「韓日企業の財源に基づく強制徴用被害の補償案」を日本に提案

登録:2019-06-20 06:06 修正:2019-06-20 12:22

日本「国際法に違反」7カ月間攻勢 
「慎重に検討」という従来の立場だけでは  
効果的対処が困難だと判断  
G20前に圧力を下げる効果を期待  
 
被害者との事前調整なく提案 
「慰謝料を受け取って和解するかどうかは 
個人の選択の問題」  
 
外交部次官、非公開で訪日し提案  
日本、「解決策にならない」と直ちに拒否  
韓日首脳会談さらに不透明に

勤労挺身隊被害者のキム・ソンジュさん(中央)が2018年11月29日、ソウル瑞草洞の最高裁判所大法廷前で、三菱重工業に損害賠償を求める日帝強制動員被害者の訴訟で、原告勝訴確定判決が下されたことに対する所感を述べている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 韓国と日本企業の自発的出資で財源を造成し、日帝強制徴用被害者たちに賠償する案を政府が日本に提案した。日本企業に強制徴用被害者に対する賠償を命じる昨年10月の韓国最高裁(大法院)の判決に反発した日本が、国内外で世論戦を繰り広げてきたことを受け、韓国がそれなりの代案を示して、日本にボールを渡したわけだ。日本政府は拒否の意思を表明した。

 外交部は19日「訴訟の当事者である日本企業を含め、韓日両国の企業が自発的出資で財源を造成し、(裁判所の)確定判決を受けた被害者に慰謝料当該額を支給することで、当事者同士の和解がなされることが望ましいという意見が提起された」とし、「韓国政府は日本側がこのような方案を受け入れた場合、日本政府が要請した韓日請求権協定第3条1項の協議(両国間の外交的協議)の受け入れを検討する用意があり、このような立場を最近日本政府に伝えた」と発表した。チョ・セヨン外交部第1次官が先週末、日本を非公開で訪問し、この案を提示した。

 外交部当局者は「司法判決に政府が介入しないという原則には変わりないが、可能な限りの努力と支援を行うということ」だとし、「被害者が高齢なので、救済手続きを早く進める必要があり、和解を通じて解決するのが最も望ましいという側面から提案することになった」と説明した。今回の提案は、裁判所で訴訟を通じて確定判決を受けた強制徴用被害者のうち、同案に同意する人たちが対象だ。

勤労挺身隊被害者のキム・ソンジュさん(中央)が2018年11月29日、ソウル瑞草洞の最高裁判所大法廷前で、三菱重工業に損害賠償を求める日帝強制動員被害者の訴訟で、原告勝訴確定判決が下されたことに対する所感を述べている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 河野太郎日本外相は同日午後「韓国政府の提案は日本と韓国関係の法的基盤になっている約束に違反している状態を是正することにはならず、受け入れられない」と、拒否の意思を明らかにした。

 日本は「1965年の韓日請求権協定で強制徴用の被害補償問題は解決済み」という立場であり、提案を受け入れる可能性は低かったものとみられる。日本政府は請求権協定紛争解決手続き第3条1項に基づき、外交的協議を要求したが、韓国が応じないとして、先月20日に仲裁委員会の設置を要求した。日本外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は同日午前、キム・ギョンハン駐日韓国大使館政務公使を外務省に呼び、韓国が協定に規定された30日の期限となる18日まで韓国側の仲裁委員を任命しなかったことに対して「遺憾」を表明し、紛争解決手続き第3条3項に基づき、第3国仲裁委員の任命を通じた仲裁委員会設置を要求した。韓国がこれを受け入れない場合、国際司法裁判所(ICJ)への提訴を念頭に置いた行動と見られる。

 強制徴用被害者訴訟代理人団と支援団は(政府の提案に対し)「被害者たちが高齢である点を考え、政府発表をきっかけに、両国政府が強制動員問題の解決に向けて積極的な協議に乗り出すことを望んでいる」と明らかにした。強制徴用訴訟代理人団や「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会」、民族問題研究所、太平洋戦争被害者補償推進協議会は同日午後、緊急会議を開き、「韓国政府が日本政府に立場を伝えたのは、両国間協議を開始するための事前措置として肯定的に評価できる」としたうえで、「協議を開始してから結論を導き出すまで、長い時間がかかる可能性がある状況で、韓日企業が先に確定された判決金に相当する金額を被害者に支給した後、両国政府が他の被害者問題を含む包括的交渉へと論議を拡大していく予定なら、政府の立場も肯定的に検討できる」と述べた。彼らは政府が日本の「歴史的事実の認定」と「心からの謝罪」を要求しておらず、被害者たちと十分に疎通せずに立場を発表した点は批判した。三菱強制徴用被害者訴訟を代理するキム・ジョンヒ弁護士は「最近追加訴訟を起こした被害者たちも、日本の謝罪を重要視した。賠償額自体が訴訟の目的ではない」と話した。

 韓国政府が、最高裁の判決以降7カ月間にわたって掲げてきた「慎重に検討する」という立場を離れ“代案”を提示したのは、複雑な外交的考慮が含められたものと解釈される。まず米国が一段と韓米日協力を強調する状況で、今月末の韓米首脳会談を控えて米国の圧力を事前に下げる効果を期待したとも考えられる。また、日本が世論戦で韓国への圧力を強めてきた状況で、「慎重に検討する」という従来の立場だけでは効果的対処が難しいと判断し、“対抗案”を示したものとみられる。ヤン・ギホ聖公会大学教授は「政府が、司法府の判断に介入しないという原則を守りながらも、韓国にできる最大値の案をまとめた」としたうえで、「日本にボールを渡すことで、主要20カ国・地域(G20)首脳会議を控えて名分を確保した」と指摘した。

 日本が同案を拒否したことで、今月末に日本で開かれるG20の首脳会議を契機に韓日首脳会談が開催される可能性はさらに不透明になった。外交部当局者は「大統領がG20で韓日首脳会談を望んでいるという考えを明らかにしたが、強制動員問題と首脳会談は別の事案」と述べた。

パク・ミニ、チャン・イェジ記者、東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/898603.html韓国語原文入力:2019-06-19 22:07
訳H.J

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