本文に移動

[社説]衝撃的な朝米会談決裂、韓国政府が再燃に乗り出せ

登録:2019-03-01 11:44 修正:2019-03-04 10:38
「非核化と相応措置」の両立に失敗
交渉の終わりでないのが不幸中の幸い
韓国政府は仲裁力発揮に全力を注げ
首脳会談後にホテルの庭を並んで歩くトランプ大統領(右)と金委員長=2月28日、ベトナム・ハノイ/聯合ニュース

 世界の耳目が集まる中でベトナムのハノイで開かれた第2回朝米首脳会談が28日、何の成果もないまま決裂した。当日朝までは成功に向かって順調に進んでいるようだった首脳会談は、午後に入って暗礁に乗り上げた。朝米の首脳は何の合意もないまま、予定されていた合意文書の署名式を中止した。大きな注目と関心の中で開かれた会談がこのように突然決裂したことは、強いショックに違いない。

 交渉決裂の責任が誰にあるのか、今は明確でない。しかし、切迫した心情でハノイに来たと明らかにした金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が先に会談の席を立った可能性は高くない。トランプ大統領は「私の決定だとは言いたくない」としたが、米国の原則へのこだわりが金委員長にプレッシャーを与えたと見られる。トランプ大統領は会談決裂の雰囲気に関して「席を蹴って出たのではなく、友好的な雰囲気で握手して終わらせた」と述べ、次の出会いを約束した。しかし、このような状況でいつ再び交渉が再開されるかは分からない。

 交渉決裂の原因が非核化の実行と相応の措置の両立を見出せなかったところにあるのは明らかだろう。トランプ大統領が「北朝鮮が我々の望む非核化をしてこそ、我々も制裁緩和をできると話した」と明らかにしたことからも、そのような事実が伺える。米国は寧辺(ヨンビョン)の核施設の廃棄または凍結だけでは充分でないという立場だった一方、金委員長は寧辺の核施設廃棄の見返りとして制裁緩和を強力に要求したものとみられる。結局、この2点をめぐり最後まで妥協点を求めたが、両国とも引かなかったことが交渉決裂の直接的な原因になったのだろう。今後交渉が再開されるとすれば、朝米はこれまでよりはるかに深く話し合い、合意点を見出すために相手の立場で考える姿勢に努めるべきだということを示している。

 両国の首脳会談と非核化の交渉進展に対する米国議会の否定的なムードも、交渉決裂に相当影響を与えたと思われる。最近になって一部の変化が感じられたものの、ワシントンの政界は保守・革新を問わずトランプ大統領の北朝鮮との交渉に疑問を隠さなかった。トランプ大統領が政治的窮地から抜け出すために北朝鮮との交渉で妥協しすぎないかと疑う見方が多かった。このような状況で、交渉が不十分であれば「スモール・ディール」に留まったという批判が出てくることは火を見るより明らかであり、果敢な妥協をすれば北朝鮮に譲歩しすぎたという批判が出てくるところだった。同じように、北朝鮮としては非核化だけを差し出して経済発展を成し遂げる制裁緩和が実現されないならば、内部の圧力を受けるほかない状況だ。金委員長は核を捨てて経済に集中するという戦略的決断をしたが、かといって体制安保の核心である核を直ちに放棄することは容易ではない。

 交渉決裂後のトランプ大統領の記者会見によると、状況がさらに悪化する可能性は高くはなさそうだ。ポンペオ国務長官が「今後数週間以内に合意を成し遂げることを期待する」と明らかにしたうえ、トランプ大統領が「最終的には合意を成し遂げると期待している」と明らかにしたことも、交渉を再開する意向があることを示している。しかし、一度歪んだ交渉を再燃させるには、多くの努力が必要だ。もしここで両国が決裂の責任を相手側に押し付け、感情的な亀裂を強めるならば、事態は深刻なレベルに悪化しかねない。

 両国合意のために長く努めてきた韓国政府も、予想外の結果にショックは大きいだろう。しかし、ただ座り込んでいてはならない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、朝米交渉の仲裁者であり促進者として最大限積極的にこの状況に介入すべきだ。交渉決裂の余波を広がらせてはならない。実に残念なのは明らかだが、今回の決裂で交渉の原型自体が壊れたわけではない。韓国政府は昨年のシンガポール首脳会談を控えて取り消しになった会談を再生させたことがある。その経験を生かし、交渉を再び軌道に乗せることにすべての努力を尽くさねばならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/884105.html 韓国語原文入力:2019/02/28 21:12
訳T.W

関連記事