本文に移動

北朝鮮、深夜に反論会見…「全面的制裁解除を要求したわけではない」

登録:2019-03-01 08:20 修正:2019-03-04 10:22
リ・ヨンホ外務相、1日午前0時15分にハノイで記者会見 
トランプ大統領の記者会見内容に真っ向から反論 
「米国が寧辺以外にもう一つを要求… 
我々は民生分野の一部制裁解除を要求」  
「我々は核・ロケットの試験発射の永久中止を 
文書の形で確約する意向も明らかにした」 
 
チェ副相「寧辺、米専門家の立ち合いのもと永久廃棄を提案… 
米国は千載一遇の機会を逃したも同然」 
「金委員長、交渉の意欲を失うかもしれないという印象受けた」
北朝鮮のリ・ヨンホ外相が今月1日午前0時15分、宿泊先のベトナム・ハノイのメリアホテルで、深夜記者会見を開き、第2回朝米首脳会談で合意に失敗したことに対するドナルド・トランプ大統領の説明に反論している。左はチェ・ソンヒ外務副相=ハノイ/ノ・ジウォン記者//ハンギョレ新聞社

 「北朝鮮がすべての制裁の解除を要求した」というドナルド・トランプ米大統領の主張に対し、北朝鮮が深夜記者会見を開いて反論した。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のベトナム訪問に随行している北朝鮮のリ・ヨンホ外務相は1日(現地時間)午前0時15分ごろ、金委員長の宿泊先のハノイ・メリアホテルで記者会見を開き、「我々はすべての制裁の解除を要求したわけではない」と反論した。

 リ外務相は「我々が要求するのは全面的な制裁解除ではなく、一部解除、具体的には国連制裁決議11件のうち2016~2017年に採択された5件、中でも民需経済と人民の生活に支障をきたす項目だけを先に解除してほしいというもの」だと述べた。

 前日の28日午後2時15分ごろ、トランプ大統領は宿泊先のJWマリオットホテルで記者会見を開き、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との第2回朝米首脳会談で合意が見送りになった理由として、「北朝鮮がすべての制裁の解除を要求したため」と説明したことに真っ向から反論したのだ。

 リ外務相は「我々は昨年6月、シンガポールで行った第1回朝米首脳会談で、共同認識に基づく信頼構築と段階的解決の原則に従い、今回の会談で現実的な提案を行った」と述べた。

 彼は「米国が国連制裁の一部、すなわち民需経済と人民の生活に支障をきたす項目の制裁を解除すれば、寧辺(ヨンビョン)地区のプルトニウムとウランを含むすべての核物質生産施設を、米国専門家の立ち会いのもと、両国の技術者らによる共同作業で永久かつ完全に廃棄するということだ」と明らかにした。

 リ外務相は「これは朝米両国間の信頼レベルからして、現段階で私たちが踏み出せる最も大きな歩幅の非核化措置」だと強調した。

 また「我々が非核化措置を取っていく上で、より重要な問題は安全保障問題だが、米国がまだ軍事分野の措置を取るのが負担になるとみて、部分的な制裁解除を相応の措置として提示した」と説明した。

 リ外務相は「今回の会談で、我々は米国の懸念を減らすため、核実験と長距離ロケット発射を永久に中止するという確約も文書の形で提供する意向も明らかにした」と述べた。

 彼は「信頼構築の段階を経れば、今後非核化過程はさらに早く前進できるだろう」とし、「しかし、会談過程で米国側は寧辺の核施設の廃棄措置のほかにもう一つを追加すべきだと主張した。したがって米国が我々の提案を受け入れる準備ができていないことが明白になった」と主張した。

 リ外務相はまた「現段階で我々が提案した内容よりも良い合意がなされるかどうかについて、この場で明らかにするのは難しい」としたうえで、「このような機会が再び訪れることも、なかなかないかもしれない」と述べた。

 また「我々のこうした原則的な立場には変わりがなく、今後、米国側が交渉を再び提案する場合でも、我々の方針は変わらないだろう」と強調した。

 リ外務相の深夜記者会見は、前日の28日午後、トランプ大統領が記者会見を開いてから10時間後に行われた。金委員長一行は、トランプ大統領の記者会見の内容を分析し、対応方針について話し合ってから、深夜に反論会見を開くことを決めたものと見られる。

 首脳間の交渉内容に対する事実関係をめぐり、双方が単独記者会見と深夜記者会見を通じて攻防を繰り広げたわけだ。対話再開の雰囲気が再び作られるまでは、かなりの時間がかかる見込みだ。

今月1日午前0時15分(現地時間)、ハノイのメリアホテルの前で取材陣がリ・ヨンホ外相の記者会見の取材を待っている=ハノイ/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮のチェ・ソンヒ外務副相は、リ外務相の会見に続き、記者団との質疑応答で「民需用の制裁決議の部分的決議すら解除するのは難しいという米国側の反応を見て、(金正恩)国務委員長同志が今後の朝米交渉について少し意欲を失うかもしれないという印象を受けた」と述べた。

 チェ副相は「今回、私は首脳会談を見ていて、国務委員長同志が米国の進める米国式の計算法について、理解に苦しんでいるような印象を受けた」と語った。

 チェ副相は、北朝鮮が今回の交渉で米国側に提示した案について「寧辺の核団地全体、その中にあるすべてのプルトニウム施設やすべてのウラン施設を含むすべての核施設を、丸ごと米国専門家の立ち会いのもと、永久かつ不可逆的に廃棄することに対する(提案)」だとし、「歴史的に提案したことのない提案を今回行なった」と述べた。

 彼女は「このような提案に対し、米国側が今回受け入れなかったのは、千載一遇の機会を逃したも同然だ」と主張した。

ハノイ/ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/884116.html韓国語原文入力:2019-03-01 04:07
訳H.J

関連記事