北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とドナルド・トランプ米大統領の「ハノイ談判」が、合意に至らなかったことを受け、今回の会談を機に南北経済協力を進展させ、朝鮮半島の平和と繁栄の時代を準備するという文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「新朝鮮半島体制」構想も暗礁に乗り上げた。
文大統領は翌日開かれる三一節(独立運動記念日)100周年記念式典で、米国主導の国際社会の対北朝鮮制裁が緩和された場合、南北鉄道・道路の連結や金剛山(クムガンサン)観光の再開、開城(ケソン)工業団地の再稼働などを始め、「新朝鮮半島体制」構想を推進するという青写真を示す予定だったが、修正を余儀なくされる状況となった。
文大統領は先月19日、トランプ大統領との電話会談で「南北間の鉄道・道路の連結から南北経済協力事業に至るまで、トランプ大統領に要請されるならその役割を引き受ける覚悟ができており、それが米国の負担を減らす道」だと述べた。北朝鮮との交渉で、トランプ大統領の交渉カードを増やし、経済発展に腐心する金委員長にも突破口を示すと共に、非核化交渉で韓米協力も強化する絶妙のカードだった。これを通じて、南北関係と朝鮮半島新経済構想を具体的に発展させていくという意志も込められていた。
しかし28日、朝米首脳会談が決裂したという衝撃的なニュースが流れたことを受け、大統領府は朝米合意の妥結を前提に準備していた南北協力事業を再検討し始めたという。当面、金剛山観光の再開や開城工業団地の再稼働、鉄道・道路の連結など、南北協力事業を推進する動力が減少したとみて、新たな動力探しに乗り出すものとみられる。3月末か4月初めに実現する見込みだった金正恩国務委員長のソウル答礼訪問にも支障が出るのは必至だ。朝米会談の結果によって、文大統領と金委員長が協議する議題などを決め、南北が答礼訪問の時期を調整する予定だったが、“成果なき会談”に終わったことで、金委員長の答礼訪問まで不透明になったのだ。非核化の入り口の段階で朝米首脳が終戦を宣言するか、今後の南北米3者または南北米中4者の終戦宣言を推進し、非核化問題の解決を進めながら、朝鮮半島平和体制をめぐる交渉を本格化させようという構想も、新たな日程・計画表作りを迫られるものと見られる。