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[社説]年内実現が困難になった金委員長の答礼訪問、落ち着いて再推進を

登録:2018-12-12 23:48 修正:2018-12-13 07:48
今月7日午後、ソウル鍾路区大統領府前のサランチェ付近に文在寅大統領と金正恩北朝鮮国務委員長が握手する姿を描いた作品が設置され、注目を集めている/聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の年内のソウル答礼訪問が難しくなったものと見られる。まだ可能性は完全に消えたわけではないが、大統領府高官が12日「北側の諸事情により、年内訪韓は難しい」と明らかにしたことから、今年中に金委員長がソウルを訪れることは事実上困難になったと言うべきかもしれない。

 金委員長が年内の答礼訪問を決心できない背景には、いくつかの理由があるものと推測される。韓国側の一部の「答礼訪問反対」の声に影響を受けた可能性もあり、警護上の安全に確信を持てなかったかもしれない。しかし、やはり最大の理由は、足踏み状態に陥っている朝米非核化交渉にあると見るべきだろう。9月の平壌首脳会談で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がソウル訪問を提案し、金委員長がこれを受け入れた当初、前提にしていたのは、北朝鮮と米国が2回目の首脳会談を順調に行うことだった。 しかし、マイク・ポンペオ米国務長官の4回目の訪朝以降、数カ月にわたり高官級交渉が空転を繰り返したことで、「朝米首脳会談後に金委員長がソウルを答礼訪問する」という構想も崩れた。

 韓国政府は、金委員長の答礼訪問がこのような膠着局面を打開するのに役立つと考え、北朝鮮側に早期の答礼訪問を促したが、北朝鮮にとっては受け入れ難い提案だったようだ。米国は、2回目の朝米首脳会談の条件として、北朝鮮に核施設リストの提出を求めているが、北朝鮮はこのような要求が無理だと見て、米国の対話要請に対し沈黙を守っている。金委員長としては、ソウル答礼訪問を断行する場合、非核化と関連して一歩踏み込んだ約束をする必要があるが、米国が相応の措置を取るかどうか確実ではない状況で、これに負担を感じた可能性が高い。

 このようなムードに乗じて、保守の一部では南北関係を再調整し、進展のスピードを遅らせるべきだという声も上がっている。説得力のある主張とは思えない。今年展開された状況を振り返ってみても、南北関係の発展と朝米交渉の進展が“好循環”の関係にあることは否定できない。膠着局面が長引いているが、そうなればなるほど、南北関係を地道に前進させる必要がある。

 金委員長の年内の答礼訪問が難しくなった以上、政府の次の対応が重要になった。金委員長の答礼訪問が来年1~2月に予告された朝米首脳会談の前に行われた方がいいか、それとも朝米会談の後に行われた方がいいか、じっくり検討してみる必要がある。もちろん最終決定は北朝鮮側に委ねざるを得ないが、韓国も朝米交渉の状況を考慮しながら最善の方策を模索し、緻密に準備しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/874162.html韓国語原文入力:2018-12-12 19:02
訳H.J

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