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[社説]とんでもないトランプの「防衛費分担金増額」要求

登録:2018-12-10 23:26 修正:2018-12-11 07:44
航空母艦で離陸訓練をする米軍の戦闘機//ハンギョレ新聞社

 米国のトランプ大統領が来年から適用される韓国の防衛費分担金を現在の1.5~2倍に上げるよう求めていると、米国のウォールストリート・ジャーナルが報道した。今年1年韓国が駐韓米軍駐留のために負担した防衛費の分担金は9602億ウォンだ。報道内容のとおりならば、韓国に限って1兆4400億~1兆9200億ウォン(約1400億~1900億円)水準に上げろと要求しているわけだ。あまりにも行き過ぎた要求である。

 韓米は2014年1月の第9次防衛費分担金交渉で、前年より5.8%増額して金額に合意した。それなのに駐韓米軍の駐留費を5年ぶりに突然50~100%も増やさねばならない理由はない。むしろ龍山基地の平沢移転が計画通り2020年に完了すれば、追加の軍事建設費用は減る可能性が高い。また、今年になって北朝鮮の軍事的挑発が大きく減少し、駐韓米軍が緊急状況を想定した軍事運用をする可能性も減っている。駐留費用が増えるより減る要因がさらに多いのが現実だ。政府は米国を相手にこのような点を積極的に説明して、合理的な水準の折衷点を求めなければならない。

 韓国が今まで負担してきた防衛費分担金も実際少なくはない。米国は韓国の分担金が駐韓米軍駐留費の約50%になると評価しているが、韓国内の市民団体は韓国が防衛費分担金以外に土地や施設、各種手数料の減免や税制恩恵を追加提供しているので、実際には65%以上を負担しているという分析を示している。日本の駐日米軍支援と比較しても、決して少なくない金額だ。韓国の国防研究院が5月発表した資料によると、韓国の分担金は日本より総額では少ないものの、米軍の1人当り支援額や国内総生産(GDP)比の支援額で見れば1.5~2.6倍も多い。年初から進行中の交渉で、米国の交渉チームは自国の大統領が直接大幅増額を指示したためか、多少硬い態度を見せていると分かった。しかし駐韓米軍は対北朝鮮だけのための軍事力ではない。廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権時の韓米が駐韓米軍の「戦略的柔軟性」に合意しており、もはや“固定の”軍でもない。駐韓米軍は北東アジア地域の安定や中国の牽制など米国の戦略的利益にも大きく寄与する。

 対北朝鮮の抑制力の多くの部分を米軍に依存するということをテコにして、韓国に過度な増額を要求するのは、韓米同盟のためにも望ましくない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/873827.html韓国語原文入力:2018/12/10 18:40 修正:2018/12/10 19:02(968字)
訳T.W

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