6・12シンガポール朝米首脳会談が開かれて12日で1カ月になった。首脳会談直後の興奮した雰囲気は、朝米関係に明確な進展が見られず多少沈んでいるように見える。12日に予定されていた米軍遺骨返還のための両国の実務協議は、北朝鮮側が参加せずひとまず失敗に終わった。遺骨返還の協議は6、7の両日に北朝鮮を訪問した米国のマイク・ポンペオ国務長官が北朝鮮と合意したと明らかにしたものだった。北朝鮮が約束を破ったのか、ポンペオ長官の一方的な発表であったのかはまだ不明だが、予定された会談が開かれないのは北朝鮮と米国の関係改善に良からぬ信号になりうる。北朝鮮は将官級会談の逆提案をしているので、うまくいくことを望みたい。
一カ月前の首脳会談で両国は「北朝鮮と米国の新しい関係樹立」「恒久的な朝鮮半島平和体制構築」「朝鮮半島の完全な非核化」「米軍遺骨返還」など大きく4つの分野で歴史的な合意をした。今までの流れだけを見ると、合意内容で確実な進展を成し遂げたものはまだない。一方、首脳会談以降は北朝鮮の挑発的行為は起きておらず、韓米合同演習も中止され、南北米の平和努力が続いていることも事実だ。だとしても、朝米関係が期待したほどの発展を見せていないことが事実であるだけに朝米両国は交渉力を生かせるようさらに努力しなければならない。
朝米関係がこのように解決しないのは、「朝鮮半島の終戦宣言」問題で米国がはっきりした答を出さないためでもある。終戦宣言は4・27板門店宣言と6・12朝米共同声明で年内に行うよう約束した問題なので、米国がその気になればいつでも結ぶことができることだ。北朝鮮が終戦宣言を重視するのも、この宣言が北朝鮮に対する「暫定的な体制保証措置」という性格があるためだ。
米国がこの問題に積極的な態度を見せない以上、韓国政府が乗り出す必要がある。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「年内の終戦宣言推進が韓国政府の目標」と強調しているのも、この問題をそれだけ重く見ているためだろう。朝米が非核化とそれに相応する措置の工程表をめぐり見解の違いが大きなこの時に、この溝を埋めるのは仲裁者であり促進者としての韓国政府の役目だ。一部では9月の国連総会で南北米が終戦宣言をする可能性を取り上げて論じたりしているが、そうなれば良い。政府は終戦宣言はできれば早く成されるように、米国と北朝鮮を説得することに力を注ぐべきだ。