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[コラム]訓練中断と非核化

登録:2018-07-08 22:09 修正:2018-07-09 07:21
米空軍が運用するB-2ステルス戦略爆撃機が2台のF-15Eの護衛を受け、グアム上空を飛行する場面//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ大統領が金が多くかかるからと言って韓米合同演習の中断を正当化したのは、ちょっと理屈に合わないと感じた。安保問題を金銭の問題に単純還元して説明する方式で、商売人臭さが濃厚に漂うためにさらにおかしいと感じた人が多かったようだ。トランプ大統領は、韓米合同演習にかかる実際の費用がいくらなのか言及しなかった。米軍当局が別に公開したこともないので、正確な費用は分かりかねる。

 しかし、先月米国のCBS放送の報道を見れば、見積もり推察はできる。放送は、米空軍関係者の話を引用して「飛行時間当たりの運用(作戦)費用」(OCPEH)が、B1Bが9万5758ドルで、B2Aが12万2311ドル、B52Hが4万8880ドルだと報道した。これらの爆撃機がグアムと朝鮮半島を行き来する往復飛行を13時間とすれば、費用は347万337ドルで、2019会計年度の国防予算6811億ドルに比べればきわめて小さい費用ということだ。そのうえ、この費用が本当に節約されるかについても疑問を提起した。これらの爆撃機は、飛行が取り消しになるよりは、朝鮮半島の代わりに他に飛行訓練に出向く可能性が高いためだ。

 韓米間の合同演習および訓練の中断で、軍の戦力弱化と対備態勢の空白を懸念する声がある。平時に備えなければ後悔するという「備えあれば憂いなし」の価値を揺るがす論理から、合同訓練の中断が結局は韓米同盟の弱化につながるという心配まで出ている。通常2~3年ずつ循環職務をこなす軍要人の特性上、訓練空白の長期化は軍の基本的戦闘力維持にも障害になるという憂慮もある。

 軍内部の論理では寸分の間違いもない話のようだ。訓練は当然、平時の軍の職分だ。しかし、軍の存在根拠が国家安保にある限り、さらに大きな枠組みの安保次元ではより緩やかになる必要もある。合同演習の中断は、ジェームズ・マティス米国防長官の先月28日の発言を借りれば「朝鮮半島内の問題が最も平和的に解決されるよう、外交官たちの交渉がよりよくなされるよう機会を増大」させるためのもので、ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官の1日前の演説によれば「信頼構築が重要な時期に、無用な刺激や挑発的態度を見せる演習を中断すること」だ。

パク・ビョンス統一外交チーム先任記者//ハンギョレ新聞社

 論理を単純化してみよう。もし朝米間の非核化交渉がうまくなされて、北朝鮮核問題が解決されるならば、私たちにとってそれ以上の安保利益があるだろうか。核のない北朝鮮の在来式軍事力は、韓国の現在の水準で十分に抑制力を発揮できる水準だ。最近、ある予備役海軍提督から私的な席でこういう話を聞いた。「1999年6月の第1延坪(ヨンピョン)海戦当時、すでに南北艦艇間の戦力差が大きく現れた。韓国軍の艦砲はコンピューターで自動統制され正確な反面、北朝鮮軍の艦砲は手動で正確度が劣った。その後、私たちは次期高速艇を新たに開発し配備する段階なのに、北側はまだ当時の警備艇が主力だ。その時よりも南北間格差がさらに広がったということだ」。このような状況は海軍だけだろうか?

 朝米間の非核化交渉は、今月6~7日にマイク・ポンペオ米国務長官の訪朝交渉を契機に本格的に幕が上がった。交渉に息を吹き込むために、しばらく訓練を猶予することが直ちに大きな問題になるだろうか。軍当局によれば、すべての訓練を中断したわけでもない。ブルックス司令官は「革新的方法で合同訓練を推進し、対備態勢を維持するだろう。訓練の規模や演習の時期、演習のシナリオを調整して挑発的でない訓練を継続することはできる」と言う。少しだけ忍耐心を持って見守ることだ。

パク・ビョンス統一外交チーム先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/852391.html韓国語原文入力:2018-07-08 19:10
訳J.S

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