朝鮮半島に新しい平和の歴史が刻まれた。27日、分断70年の足かせを乗り越えて南北の両首脳が板門店(パンムンジョム)の軍事境界線でついに会った。文在寅(ムンジェイン)大統領と金正恩(キムジョンウン)国務委員長は明るい顔で向かい合って初めて握手を交わした。両首脳は分断線を手を握って共に越え、また乗り越えた。全世界が見守る中で予定になかったパフォーマンスを通じて分断を越えて平和と統一に進もうという南北の意志を明確に示してくれた。対決の象徴だった板門店を和解の象徴に変える意味深い場面に違いない。このような感慨深い出会いの中で両首脳は「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」を通じて朝鮮半島にこれ以上戦争のない新しい平和の時代が開かれたことを明らかにした。
朝鮮半島の平和を念願してきた8000万の民族とともに祝う民族史的事件というだろう。今回の首脳会談は11年ぶりに再び開かれた南北首脳会談という意味を越え、朝鮮半島の平和定着に劇的な転換点となる事件として記録されるに値する。
金委員長は軍事境界線を歩いて越えてくることによって停戦協定後初めて南の土地を踏んだ北の最高指導者になった。金委員長は北側最高指導者としては初めて儀仗隊の査閲を受けた。金委員長を正当な国家の最高指導者と認定するという意味がこもっている。今後南北関係がより一層高い水準に進むことを予告すると受け取ってもかまわないだろう。金委員長の夫人リ・ソルジュ女史が、晩餐で文大統領とその夫人のキムジョンスク女史と同席したことも正常な国家とする意志をはっきり示したものと言えるだろう。
金委員長は率直に破格の姿で登場した。文大統領と会った瞬間軍事境界線を共に行き来したことからして破格的だった。金委員長が北の道路事情は良くないという事を率直に打ち明けた姿も印象的だった。北の内部の問題や誤りを表わさない「慣行」を破ったのだ。実力以上の虚勢はなく、足りない点は足りない通り話すことができる姿は、信頼を植え付けることに役立つ。偽りのない姿ほど相手を信頼させるもはない。さらに今回の首脳会談で文大統領と金委員長は直接記者たちの前で板門店宣言の意義と内容を説明した。金委員長が記者たちの前に立ったのは初めてだった。過去の金正日(キムジョンイル)時代には見られなかった開放的な姿を演出したのだ。
今回の南北首脳会談で最も大きな成果は戦争態勢を平和態勢に変えようという南北の意志が込められた板門店宣言だ。焦眉の関心事であった朝鮮半島の非核化の点で両首脳は「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」と発表した。南北首脳会談の宣言文に非核化が明示されたという点で、これまで期待されてきたことを満たしたと言えよう。非核化の問題は残りの他のすべての問題を解決していくための核心部分に当たる。これまで北朝鮮は非核化の意志はないのではないかという話が出ていたが、今回の宣言を通じてこのような疑問ははっきりと払拭されることとなった。非核化は最終的に米国と北朝鮮の間で談判しなければならない問題だ。しかし南北が相当高いレベルの非核化宣言をすることで解決はその分やりやすくなった。
今回の宣言は文大統領が今年の秋に平壌を訪問することにしたという事実も含まれている。文大統領の北朝鮮訪問が実現すれば年に2度も首脳会談が開かれることになる。これまで南が進めてきた首脳会談の定例化が成されるのだ。南北関係の画期的な発展と緊張緩和および南北協力に多いに役に立つことはもちろんである。会談中も南北首脳は「いつでも」会おうということを繰り返したが、推察するところ年に2回程度は会うものと見られる。特に文大統領が伝統ある儀仗隊と行列している間に金委員長に「大統領府に来られればはるかに良い場面をお見せすることができる」と言うと「招請されればいつでも行く」と返したことは文大統領の平壌(ピョンヤン)訪問後にソウルで首脳会談が開かれる可能性を予言したものといえよう。
朝鮮半島平和体制構築に関連して今回の首脳会談でどの程度の合意が成されるかは非核化の次に関心が大きなことであった。特に終戦宣言でどの程度進展するかは関心事であった。両首脳は板門店宣言で、朝鮮半島の異常な現在の停戦状態を終息させて確固たる平和体制を樹立することはこれ以上先送りできない歴史的課題だと明らかにした。もちろん終戦宣言は南北両者だけでは実現できない問題なので関係国が共に参加して成し遂げるほかない。そうした点から今回の宣言文に、停戦協定締結65年になる今年終戦を宣言して恒久的な平和体制の構築のために南・北・米の3者または、南・北・米・中の4者会談の開催を積極的に推進することとしたのは当然の手順と言えるだろう。この宣言から推察するところ今後朝米首脳会談をした後に南・北・米または、南・北・米・中が共に会って終戦宣言をするものと見られる。南と北は平和体制の定着が早まるよう最大の努力をしなければならない。
両首脳が互いにいかなる武力も使わないという不可侵合意を再確認して厳格に遵守することにしたことも朝鮮半島の緊張緩和と平和定着に役に立つだろう。南と北が軍事的緊張状態を緩和するために合意した内容も関心を引く。相手に対する敵対行為を全面中止することにしたことは南北関係が良かった時期に状態を戻すという宣言だ。特に非武装地帯を今後実質的な平和地帯とすることにしたのは非武装地帯の武装解除のために評価するに値する。また、西海海岸の北方境界線一帯を平和水域として偶発的な軍事的衝突を防止して安全な漁労活動を保障するために現実的な対策をたてていくことにした点も期待を集めている。今後開かれる軍事当局の会談でこの合意を具体化する策を整かねばならないだろう。
金委員長が終始「履行の意志」を強調したことも特に注目される大きな点だ。首脳間の合意を自ら先に履行する意思を明らかにしたのだが、相手に約束どおり合意を履行しなければならないということを要求したとも言えよう。過去の南北間で、また北朝鮮と米国の間で何度も重大な合意があったがすぐに紙切れの無用の約束になってきたことは北だけの誤りとは言えない。保守政権下で南北合意が履行されなかったことも数件あり、北朝鮮と米国の間でも米国の方の合意不履行で関係が歪んだことも少なくない。南と北がこの点に留意して今回成し遂げた合意はどんなことがあっても守るという覚悟で着実に実行して互いの信頼を築かねばならない。
1カ月余りの後に開かれる朝米首脳会談を仲立ちしなければならない文大統領としては、金委員長が非核化の意志をしっかり明らかにすることで両国を仲立ちするために非常に良い立場になったと言えよう。この会談の成果を持って来月中旬に開かれる予定の韓米の首脳会談でトランプ大統領と調整しなければならない。米国は両首脳が初めての対面をした直後に声明を出して南北首脳の出会いが「朝鮮半島全体のための平和と繁栄につながる進展を成し遂げることを希望する」と表明した。南北首脳会談が引き出した板門店宣言が北朝鮮と米国のビッグディールを成し遂げるのに大きく寄与するものと思う。
南北首脳が念を押した通り私たちには平和と繁栄の道を走ることが残った。朝鮮半島の非核化が平和の定着につながり南北が協力して共生する新しい時代を作っていくことを願って、首脳会談の大きな成就を全ての同胞とともに祝う.
韓国語原文入力:2018/04/27 21:20