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[ニュース分析]今年中に終戦・平和協定…「朝鮮半島の大転換」

登録:2018-04-28 06:15 修正:2018-04-28 10:25
文大統領「私たちは決して後戻りしない」 
金委員長「恥ずべき歴史繰り返さないように協力」 
秋の文大統領の平壌訪問でシャトル会談を始動
今月27日午後、文在寅大統領と金正恩委員長が板門店の平和の家の庭で、南北共同宣言の「板門店宣言」を発表している=共同写真記者団//ハンギョレ新聞社 

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は27日、「朝鮮半島でこれ以上戦争はなく、新たな平和の時代が開かれたことを、民族と世界に厳粛に宣言する」とし、3カ条13項の「朝鮮半島の平和と繁栄、統一に向けた板門店(パンムンジョム)宣言」(板門店宣言)を共同発表した。

 両首脳は同日、板門店の平和の家で行われた首脳会談を終え、冷戦の産物である分断と対決の終息▽民族和解と平和繁栄の新時代の開幕▽南北関係の積極的改善と発展の「確固たる意志」を板門店宣言に盛り込んだことを明らかにした。

 両首脳は、文大統領が「今年秋、平壌(ピョンヤン)を訪問」することで合意した。まもなく開かれる朝米首脳会談の成果をもとに、板門店宣言の履行を点検し、追加合意を見出すための布石だ。さらに、南北首脳会談の定例化を念頭に置いた「シャトル会談」の始まりでもある。金委員長は午前の会談で「(文)大統領が招待してくだされば、いつでも大統領府に行く」とし、文大統領は「今日、板門店を皮切りに、平壌やソウル、済州道(チェジュド)、白頭山(ペクトゥサン)でも会えるようになればと思っている」と期待を示した。

 両首脳は「すでに採択された南北宣言とすべての合意を徹底的に履行することで、関係改善と発展の転換的局面を切り開いていくことにした」と明らかにした。「私たちは決して後戻りしない」という文大統領の発言に対し、金委員長は「この合意が、スタートを切っただけで終わった歴代の合意書のように、残念な歴史を繰り返さないよう、私たち二人が緊密に協力し、必ず良い結果が出るよう努力していく」と約束した。

 両首脳が会談で見出した共同認識や志向、アプローチは、板門店宣言という題名に盛り込まれている。「平和」→「繁栄」→「統一」だ。文大統領は「今日、金委員長と私は、朝鮮半島の非核化と恒久的平和、民族の共同繁栄と統一の道に続く道しるべを立てた」と自ら評価した。

文在寅大統領が今月27日午前、板門店の軍事境界線を越えて北朝鮮の金正恩国務委員長と握手を交わした後、手を取り合って北側に渡った後、再び南側に戻っている=板門店/韓国共同写真記者団

 両首脳は、繁栄と統一の礎であり、当面の中核課題である「平和」と関連し、「南と北は完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」と宣言した。包括的で原論的言及だが、条件を設けず「完全な非核化」と「核のない朝鮮半島」と表現することで、朝米首脳会談の見通しを明るくする重要な基盤を整えた。さらに、「年内に終戦宣言、停戦協定の平和協定への転換、強固な平和体制構築に向けた南北米3者または南北米中4者協議の推進」にも合意した。非核化過程と「朝鮮半島における平和体制」の構築過程をとも進めるための布石だ。これは6カ国協議の9・19共同声明の核心内容でもある。両首脳は同日午後、「徒歩橋散歩」と言う名で行われた前例のない“公開密談”を通じて、非核化と朝米関係の正常化を含めた朝鮮半島の恒久的平和定着方案について、密度の高い対話を交わしたものとみられる。

 さらに、両首脳は、地上・海上・空中で一切の敵対行為の中止▽武力不使用と不可侵合意の再確認▽段階的軍縮の実現▽軍事境界線付近の敵対的宣伝行為の中止、関連手段の撤廃などを通じた非武装地帯の実質的平和地帯化の追求▽西海北方限界線(NLL)一帯の平和水域化を通じた偶発的軍事衝突防止および安全な漁労の保障▽5月、将官級会談の開催を皮切りに、国防長官会談を含む軍事当局者会談の頻繁な開催などに合意した。「平和」に向けた国際的努力と南北関係レベルの課題を並行し、実践していくことを目指す。

 両首脳はこのような「平和」に向けた努力をもとに、「和解」と「共同繁栄」に向けたさまざまな合意を行った。「共同繁栄」に向けた新たな実践の中では、「双方の当局者が常駐する南北共同連絡事務所を開城(ケソン)工業地域に設置」する合意が、特に目を引く。これは南北基本合意書の「板門店連絡事務所の設置」の合意に基づくもので、2005~2010年に開城工団に設置され、南北の当局者たちが一つの建物で共同勤務した「南北経済協力協議事務所」の業務範囲を南北関係のあらゆる分野に拡大していくための措置だ。文大統領は「環境が整えば、それぞれ相手地域に連絡事務所を置く方向に発展させていくこともできるだろう」と付け加え、この合意が事実上代表部を念頭に置いていることを示唆した。さらに、「断絶された民族の血脈を繋ぐ」として、「東海線・京義線の鉄道・道路連結と現代化した活用」に向けた「実践的対策」を取ることにした。今後、南北経済協力や往来、接触のインフラとなる鉄道・道路の連結をめぐる合意は、非核化の進展と共に対北朝鮮制裁の緩和に合わせて加速化する見通しだ。

27日午前、板門店の平和の家で、南北首脳会談が始まった。左から時計回りに、南側のソ・フン国家情報院長、文在寅大統領、イム・ジョンソク南北首脳会談準備委員長と、北側の金英哲党中央委員会副委員長、金正恩国務委員長、金与正党中央委員会第1副部長=共同写真記者団//ハンギョレ新聞社

 両首脳は、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権時代の9年間、敵対と衝突で深い溝ができた南と北の7500万の市民(人民)の心を癒す「和解」処置にもきめ細やかに気を配った。南の世論への影響が大きい8・15光復節を機にした離散家族・親戚の再会行事の推進をめぐる合意が代表的な事例だ。

 特に、両首脳は「後戻りできない合意の履行」を再三強調することで、主要な合意内容の国会(最高人民会議)批准同意を含めた「履行の制度化」案作りに努めることを明らかにした。

 「統一」と関連し、両首脳は会談期間中には具体的な対話をしなかった。板門店宣言にも題名の「統一」を除けば、「共同繁栄と自主統一の未来を繰り上げていく」と一回だけの原則的な言及に止まった。「統一」は必ず成すべきだが、長期課題という認識からだ。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/842484.html韓国語原文入力:2018-04-28 07:00
訳H.J

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