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[寄稿]二つの国家体制を経て永世中立国に

登録:2018-04-24 22:40 修正:2018-04-25 10:08

 朝鮮半島はその地政学的位置の特性のために、周辺強大国間の覇権競争が激しくなれば、それにまきこまれる可能性がある。そこで二つの国家体制の共存、一つの国家に二つの体制の道を模索すると同時に、周辺国と国際社会から永世中立国としての地位保障を受ける問題も検討しなければならない。

南北首脳会談を3日後に控えた24日午後、京畿道坡州市のオドゥ山統一展望台で、観光客が望遠鏡で北側地域を眺めている=坡州/キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 今、世界が朝鮮半島に注目している。韓国と北朝鮮の戦争状態が終息し、和解と平和の道がぼんやりと見えている。70年の敵対と葛藤を終えようという息詰まる瞬間だ。こうした機会は簡単には来ないので、水が入ってきた時に用心深く櫓を漕がなければならない。これまで韓国は朝鮮半島問題に対して主要な役割をほとんど果たせなかったが、今は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「運転者論」が若干現実化している。

 南北関係はそれほど単純ではない。私たちがよく分断体制と呼ぶ朝鮮半島問題は、実際には分断/戦争体制であり、ここには植民地清算(脱植民)、終戦、分断克服、統一、北東アジアの平和が重なるが、別個の問題が複雑に絡まっている。南北分断がかつての東西ドイツのように単純に理念対立に起因したものと見れば、北朝鮮が崩壊したり戦争でこの状況を終わらせることができる。米国と多くの西欧の人々や韓国の冷戦保守勢力は、そう期待し主張してきた。それは間違いだ。そして可能でもない。

 朝鮮半島の分断は、日帝植民地体制の克服(自主独立国家樹立)の失敗を意味する。地球規模の脱冷戦、90年代の深刻な経済危機と飢謹を体験してもなお、北朝鮮が崩壊しなかった重要な理由は、6・25朝鮮戦争で米国に対抗し体制を守ったという記憶と民族主義の力のためだ。

 南北は血なまぐさい3年間の同族間の争いである戦争を体験し、その後70年近く(準)戦争状態にあった。したがって停戦体制を終息させることが南北の消耗的対決を終わらせる最初の段階だ。ところが、朝鮮戦争は南北間の戦争ではなく、米・中が介入した国際戦であったため、終戦、一歩進んで南北の和解と平和の問題は、米・中が最も重要な当事者だ。

 終戦だけでも途方もない進展だが、それでも終戦がそのまま平和を保障するわけではない。終戦が朝鮮半島の平和秩序樹立に進むためには、朝米国交正常化が必要で、南・北・米・中の4者とともに日本とロシアまでを含む北東アジア平和協定が必要だ。

 ところが、北東アジア平和協定が結ばれるとしても、それは恒久的平和でもなく、朝鮮半島分断の克服、あるいは統一を意味するものではない。南北が6・25戦争以前に戻るといっても、48年に樹立された敵対的な二つの分断国家状態は残る。そして、韓国と北朝鮮にはかつてのベトナムやドイツとは違い、70年も持続して、すでに確実に異なる政治経済体制が定着しており、相互敵対意識が教育やメディアを通じて国民の心にきわめて強く根をおろしている。すなわち、分断の克服は各体制内部の日帝植民地、分断残滓の克服を必要とする。

 しかし、分断の克服がすなわち統一ではない。性急な統合、統一は、はるかに深刻な葛藤、さらには内戦の危険をも抱いている。そこで経済交流、離散家族対面は続けるものの、相互の境界は閉ざしておいた方が良い。和而不同の精神で。つまり、朝鮮半島に二つの国家体制を維持し、軍備を縮小して交流すること、対外的には朝鮮半島の恒久的平和を定着させることを同時に遂行しなければならない。平和と統一は別の課題であり、別途のプロセスを必要とする。そして二つの国家は、各自21世紀の条件に合う理想的な社会経済体制を建設するための摸索をしなければならない。

キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院長、新たな百年研究院長//ハンギョレ新聞社

 ところが、朝鮮半島はその地政学的位置の特性のために、周辺強大国間の覇権競争が激しくなればそれにまきこまれる可能性があり、国内の政治勢力が周辺強大国と手を握り、内戦のうずに追い込む可能性もある。そこで二つの国家体制の共存、一つの国家に二つの体制の道を模索すると同時に、周辺国と国際社会から永世中立国としての地位保障を受ける問題も検討しなければならない。朝鮮末の永世中立国化の試み、4・19直後に知識人とその後に金大中(キム・デジュン)大統領が考えた中立化論は、単なる構想に終わったが、今後は不可能な理想ではなくなる可能性もある。米国のカーター大統領も、そのような代案を論じたことがあり、中国も反対する理由はない。もちろん米・中を満足させることがカギだ。

 ことによると、最大の障害物は韓国内の対立かもしれない。70年間の分断維持費用、朝鮮戦争の犠牲に対する集団的反芻作用が必要だ。すなわち、平和と統一がなぜ必要なのか、どのような平和、どのような統一であってこそ良しとするのかについて国民的合意を集める過程が始まらなければならない。学校と社会で平和・統一教育が全面化されなければならない。

キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院長、新たな百年研究院長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/841889.html韓国語原文入力:2018-04-24 19:07
訳J.S

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