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キム・ヨジョン副部長は「金正恩のメッセージ」持ってくるだろうか

登録:2018-02-09 01:40 修正:2018-02-09 07:11
北朝鮮高官級代表団、2泊3日の日程で訪韓 
開幕式に出席した後、10日に大統領府で昼食会 
キム・ヨジョン氏「メッセンジャー」以上の裁量権持つ可能性も 
「平昌以降」の南北対話の持続問題から 
朝米対話まで議題広げるかに注目集まる 
大統領府「あらゆる議題話す用意できている」
北朝鮮の朝鮮中央TVは6日午後5時30分、南側を訪問する北朝鮮芸術団が前日平壌を出発する映像を公開した。写真は金正恩労働党委員長の実妹のキム・ヨジョン党副部長(左から2番目)が芸術団を引率するクォン・ヒョクボン文化省局長を握手で見送る姿/聯合ニュース

 10日に予定された文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮高官級代表団の面会は、南と北が“本音”を確かめる場になるものとみられる。平昌(ピョンチャン)冬季五輪を契機に南北関係の全面復元に乗り出すという点では、南北間の意見の相違はないが、「平昌以降」についてはまだ互いの立場を確認していないからだ。

 キム・ヨンナム最高人民会議常任委員会委員長とキム・ヨジョン労働党中央委員会第1副部長など、北朝鮮高官級代表団は9日午後1時30分に専用機で西海の直航路を利用し、仁川空港に到着した直後、五輪開幕式が開かれる江原道平昌に移動する予定だ。チョ・ミョンギュン統一部長官などが空港で北側の代表団を歓迎するという。同日午後、文大統領が主催するレセプションに各国の首脳級人物が出席する予定であり、キム常任委員長もこの場で文大統領と初対面を果たすものとみられる。

 文大統領と北朝鮮代表団の面会は10日に行われる。文大統領は同日午前、北朝鮮代表団を面会し、昼食を共にする予定だ。キム常任委員長が形式上の「国家元首」に当たるため、首脳に準じて礼遇するものとみられる。文大統領を中心に、大統領府参謀と統一・外交・安保関連長官が、キム常任委員長を中心とした北側代表団を迎える可能性もある。面会及び昼食会場としては、大統領府が有力視される。

 金正恩(キム・ジョンウン)委員長の実妹のキム・ヨジョン副部長も代表団員の一員として出席する。金委員長が送った親書などの公式メッセージがあるなら、キム常任委員長が伝えることになるが、金委員長の“心中”は、キム副部長を通じて文大統領に伝えられる可能性が高い。北朝鮮高官級代表団は2泊3日の日程後、11日に専用機で北朝鮮に戻る予定だ。

 大統領府側は公式的には「初対面だから、すぐさま深い対話に入ることはできないだろう」とし、過度な期待感を警戒する雰囲気だ。大統領府関係者は「(私たちは)あらゆる議題について、ひざを交えて話し合う用意ができている。問題は相手だ」と話した。キム副部長が金正恩委員長の“メッセンジャー”以上の裁量権を持っているものと見られるだけに、政府としては、南北関係はもとより、北朝鮮核問題と朝米対話まで議題を広げる意志があるということだ。文大統領が同日、マイク・ペンス米副大統領、韓正中国共産党中央政治局常務委員などと面会し、平昌五輪を機に北朝鮮を非核化と平和定着に向けた対話の場に引き出すために努力すると共に、平昌以降も北朝鮮との対話を継続し、北朝鮮核問題の解決に向けた対話につながるよう尽力することを強調したのも、このような見通しを裏づけている。

 北朝鮮がどのような反応を示すかについては、見解が分かれている。キム・ヨンヒョン東国大学北朝鮮学科教授は「北側がキム副部長を送ったのは、積極的に対話するということ」としたうえで、「政府としては、朝米が接触する掛け橋の役割を果たさなければならない」と話した。ク・ガブ北韓大学院大学教授も「今回の五輪は、政府が朝米間の水面下の接触に向けた突破口を開く契機となるだろう」としたうえで、「ただし、米国と北朝鮮が望む方向が異なるため、互いにどこで妙手を見出すかがカギ」だと話した。

 一方、キム・ドンヨブ慶南大学極東問題研究所教授は「北朝鮮には当初から今回の五輪期間中に米国と接触する期待も、考えもなかった。キム副部長も政治的な動きを見せはしないだろう」と見通した。ウィ・ソンラク元駐ロシア大使は「米国は今回の五輪を対話や接触の契機にするより、『最大の圧迫』の雰囲気を固めようとしている」としたうえで、「北朝鮮もこれを把握し、対話に関心がないと話している」と指摘した。実際、チョ・ヨンサム北朝鮮外務省局長は7日、平昌五輪をきっかけにした朝米接触の可能性を問う「朝鮮中央通信」記者の質問に対し、「我々は米国に対話を乞うたことがない。南朝鮮訪問期間中に米国側に会う考えはない」と強調した。

 一方、政府は国連安全保障理事会(安保理)傘下の対北朝鮮制裁委員会に安保理決議第2356号の「旅行禁止」対象であるチェ・フィ北朝鮮国家体育指導委員会委員長の制裁免除を要請したと明らかにした。安保理は「決議の目標と一致する他の目的のために必要な場合は」に制裁を猶予できる。安保理理事国15カ国のうち反対の意思を表明する国がなければ、チェ委員長は今回の訪韓に限り、制裁を一時的に猶予されることになる。

キム・ボヒョプ、チョン・イナン、キム・ジウン、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/831531.html韓国語原文入力:2018-02-08 22:11
訳H.J

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